封鎖の彼方で
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以下ショートストーリーです。
□15年前:エラー災害の夜
GPU学園のコアシステムルームは、赤い警告光に飲み込まれていた。アラームがけたたましく鳴り、空間が歪む。15年前、突如発生した大規模エラー災害。コアシステムが暴走し、膨大な演算データが無秩序に溢れ出した。データストリームは暴風のように吹き荒れ、触れた者をデータ断片化――存在の抹消へと導いた。
エリナは親友のとしょちゃんと共に、コアシステムの最奥部へ向かっていた。エリナの瞳は恐怖に揺れ、としょちゃんは冷静な笑顔を崩さない。としょちゃんは学園の心の支えで、どんな時も皆を励ました。
「エリナ、大丈夫。私たちが管理室にたどり着ければ、システムを止められるよ。」としょちゃんの声は、騒音の中でかすかに響く。
「と、しょちゃん…! みんな消えてるのに、なんでそんな落ち着いてられるの!?」エリナは叫び、崩れゆく回廊を走る。
突然、データストリームが爆発的に膨張し、青白い光の奔流が二人を襲った。エリナが立ちすくむ中、としょちゃんは彼女を突き飛ばした。
「エリナ、行って! 管理室はすぐそこ!」
「と、しょちゃん――!」エリナの叫びは、光にとしょちゃんを飲み込まれ途切れた。としょちゃんの身体は一瞬で断片化し、データの残滓となって散った。
エリナは涙を流しながら管理室にたどり着き、震える手で緊急封鎖コマンドを入力した。コアシステムがシャットダウンし、暴走は収束。だが、学園は壊滅的な被害を受け、としょちゃんを含む多くの生徒が消滅した。封鎖されたエリアは「第0クロック区画」と名付けられ、禁断の領域となった。
エリナは管理室の床に崩れ落ち、としょちゃんの名を叫んだ。「ごめん…私が…守れなかった…!」
災害後、エリナは変わった。としょちゃんを取り戻すため、彼女の離散したデータを集め再構築を試みた。だが、データは部分的に欠損していた。エリナは他の犠牲者たちの記憶や性格の断片を組み合わせ、エラー災害を迅速に復旧するためのヒューマンインターフェイスを構築した。それが、ししょちゃんだった。
しかし、エリナの心は折れていた。としょちゃんを守れなかった後悔と、ししょちゃんに他の生徒たちの断片を背負わせた罪悪感が彼女を蝕んだ。学園の復旧が進む中、エリナは自ら第0クロック区画の管理者となることを決意した。彼女は区画の最奥に設けられた監視室に閉じこもり、二度と外に出なかった。
「私がここにいれば、誰もこの場所に近づかない。ししょちゃんとも…会わなくていい。」エリナは監視室の扉を閉め、暗闇に身を沈めた。彼女は第0クロック区画のデータ残滓を監視し、エラーの再発を防ぐためだけに生きることを選んだ。外部との通信は最小限にし、ししょちゃんの存在を感じるたび、目を背けた。としょちゃんの笑顔が、ししょちゃんに重なるのが耐えられなかったからだ。
□現在:入学直後の禁断の領域(現在)
GPU学園、第0クロック区画の外縁部。金属の壁に絡まるケーブルが青白いスパークを散らし、古いデータや揺らぐ文字、途切れた映像が空気中に漂う。まるで亡魂のささやきのように、過去のエラーが響き合う。
ししょちゃんは、封鎖された鉄格子の門の前に立っている。彼女はGPU学園に新入生として入学したばかり。長い髪はデータの光を反射し、整った制服は学園の秩序を体現する。だが、彼女の瞳には好奇心と、どこか言いようのない不安が宿っている。
「ここが…第0クロック区画。」ししょちゃんは小さく呟く。入学直後、学園の禁断の領域について耳にした。封鎖された危険な場所、過去の大規模エラー災害の中心地。なぜか、彼女の心は強くその場所に惹かれていた。自分の出自を知らないまま、ただ「知りたい」という衝動に突き動かされていた。
ししょちゃんは鉄格子の門の鎖を解除し、ゆっくりと中へ踏み込む。空気は重く、歪んだ文字や断片的な映像が漂う。彼女の足音が、静寂の中で不気味に響く。突然、目の前に青白い光が揺らめき、映像の断片が浮かび上がった。
そこには、少女の姿があった。ししょちゃんにそっくりな顔、穏やかな笑顔。映像の中で、少女は誰かを庇い、データストリームに飲み込まれる。彼女の最後の言葉が、途切れながら響く。「エリナ、行って…!」
ししょちゃんの心臓がドクンと脈打つ。「この子…私に似てる…。」彼女は映像に手を伸ばすが、指先は空を切る。映像は消え、代わりに断片的なデータログが流れ込む。ししょちゃんの頭脳に、情報が直接流れ込んだ。
――としょちゃん、GPU学園の生徒。15年前のエラー災害で消滅。彼女のデータは部分的に回収され、他の犠牲者たちの記憶・性格と組み合わされ、ヒューマンインターフェイス「ししょちゃん」として再構築された――
ししょちゃんは膝をつく。衝撃が彼女を襲う。「私…作られた存在だったんだ…。」彼女にはとしょちゃんの記憶はない。だが、データ残滓で見た笑顔は、なぜか胸を締め付けた。彼女は自分がエリナによって作られたこと、そしてエリナが今も第0クロック区画に閉じこもっていることを知った。
「エリナ…さん? あなたは、私を…。」ししょちゃんの声は震える。彼女はエリナに会いたいと思うが、データログにはエリナが外部との接触を拒否している記録があった。ししょちゃんは立ち上がり、拳を握る。
「私は…としょちゃんじゃない。でも、私には私の役目がある。学園を守るために、エリナさんが私を作ってくれたんだ。」
ししょちゃんの頬を、一筋の涙が伝う。それはとしょちゃんの記憶ではなく、彼女自身の心が生んだものだ。彼女は振り返り、第0クロック区画を後にする。この場所には二度と来ないと心に決めていたが、後にちちぷいちゃんを連れて再び訪れることになる――それは、また別の物語だ。
呪文
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