アヤナギ荘の日常 #36 -Everyday Ayanagiso-
海の家の準備もひと段落し、
砂浜を歩くシロキがぽつりと呟いた。
遠くでイチノとクロキが浮き輪を
膨らませて騒いでいる。
「クロキさん!
それ空気入れじゃなくて脚用ポンプじゃん!」
「え!? そりゃ全然入らんわけだ!」
そのやり取りを見ながら、シロキの口元が緩む。
ふと足元を見ると、素足に触れる波が心地いい。
「……いいですね、こういうの。来て良かった」
と、そんな時。
「おーい、シロ!アイス持って来たぞ」
クロキがダッシュで駆け寄ってくる。
「ま、待ってクロ、砂飛んで――」
ばっしゃーん。
見事に波に足を取られ、抱きつかれる形で転倒。
「もぉー!……クロ!!……」
赤面しながら立ち上がるシロキを見て、
クロキとイチノが大笑い。
「……あとで三倍返しです」
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