続 ベランダの挑発劇
視線をやると、昨日と同じように彼女がベランダに立っていた。
けれど今朝は、白いTシャツではない。
肩を覆うようなレースの薄布が、光に透けて淡く肌を浮かび上がらせていた。
「おはようございます」
小さく微笑んで、彼女はそう声をかけてきた。
声には柔らかさがあるのに、その笑顔にはどこか――わざとらしい無防備さがにじんでいる。
「娘が……昨日、何かご迷惑をかけませんでしたか?」
「いえ、特には……元気ですね、あの子は」
「ふふ、まっすぐすぎて困るんです。誰かに似てしまったのかしら」
彼女はそう言って、ふとこちらに視線を向けた。
風に煽られた布地が、腰のあたりで浮かび上がる。下には――何もないのか、もしくはそれに近いのか。
「今日は風があるから、少し心配で……。ちゃんと、見ていてくださると助かります」
「……ええ、気をつけます」
それがタオルのことを言っているのか、服の裾のことなのか。
それとも、彼女自身の話なのか――わからないまま、視線を逸らせなくなっていた。
「では、また」
短く会釈をして、彼女はくるりと背を向ける。
けれどその後ろ姿の曲線までもが、計算された美しさをまとっていて。
こちらの沈黙までもを、見透かしていたような気がした。
「……やっぱり、親子なんだな」
誰にともなく、そう呟いた声が風にかき消された。
呪文
- Steps 30
- Scale 7
- Seed 569979096
- Sampler DPM++ 2M Karras
- Strength 0
- Noise 1
- Steps 30
- Scale 7
- Seed 569979096
- Sampler DPM++ 2M Karras
- Strength 0
- Noise 1