夜明け、都にて。
シラクレナのとある都、屋敷の屋上にて。
暁、黄金の日差しが差し込む中、令嬢は他国より戻った忍に微笑み、労いの言葉をかけた。
「私の式神は役に立ったでしょう?」
彼女の周りを、数羽の鳥が飛んでいた。
その鳥はただの鳥ではない。彼女が従える式神だ。
怪しく光るその翼は空と同じ色に紛れ、羽音は空を吹く風と違わなかった。
「空鏡」と名付けられたその式神は、まさに偵察に適任であった。
空に紛れて上空から地上を見下ろし、自在に操る羽音で、仲間にだけ伝わる暗号として危険を知らせる。
この忍が全く危なげなく敵地へ侵入し帰還できたのも、一重にこの式神の能力の高さによるものである。
忍は深々と頭を垂れ、令嬢に感謝を告げる。
「ふふ、持てる力は使わなくてはならないもの。 私はただ己にできることをしただけなのよ、畏まらなくていいわ」
彼女の背後から差す眩しい朝日が、まるで彼女を神聖な者のように映し出していた。
「さあ、夜中忙しくして、疲れたでしょう? よく休んで、また力を貸してくださいな」
その優美さと神々しさに、忍は改めて感謝をし、速やかにその場を後にした。
夜を裂く陽光は、果たしてこの先の未来を照らしているのだろうか。
そんな風に思いを馳せながら、彼女は一人朝風を浴びるのであった。
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