Prototype 2024-04-12
夏休みの登校日。放課後に手紙で空き教室へ呼び出された僕は、その言葉に時が一瞬止まったかのような錯覚を覚えた。
それ以前から、綺麗な子だなとは思っていた。大人になれば……いや、今でも十分に美人といえる彼女は、新任教師の僕が受け持つクラスの生徒だった。
相手は教え子。ましてや、まだまだ子供といって差し支えのない年頃だ。恋愛対象として見ることなど、許されるはずもない。だというのに僕は、彼女から目を離すことができなかった。
カーテンがなびく夕暮れの教室で、穏やかに微笑む少女。
遠巻きに聞こえる子供たちの喧騒も、風の音も、すべてが遠くて現実味がない。
それはまるで、青春ドラマの一コマを切り抜いたよう。例え滑稽だと笑われたとしても、僕は今この瞬間、運命めいたものさえも感じていた。
熱に浮かされたような高揚感の中、僕は半ば無意識で彼女の告白を受け入れてしまい――そして彼女の『おもちゃ』となったのだ。
呪文
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