極限の型
「えいっ! 魔王の……火球!」
杉乃井きずなが両手を突き出し、紫色の炎の玉を放つ。
軌道はまだ曲がりくねり、威力も弱いが、数週間前よりは明らかにコントロールが良くなっていた。
「ふん……まあ、以前よりはマシになったか……」
赤い長髪を風に揺らして立つ與杼姫 月羽が、腕を組んだまま淡々と評価する。
彼女の三白眼には、わずかながら満足の色が浮かんでいた。
「へへっ! 月羽さん、褒めてくれた!」
「図に乗んな」
きずなは嬉しそうに笑いながら、汗を拭った。
しかし、ふと視線を横にやった瞬間、彼女の動きが止まった。
「……月羽さん。あそこにいる令子様……何やってるんですか?」
少し離れた場所で、松浦 令子が静止していた。
コートを脱ぎ捨て、薄着の状態で微動だにしない。
足元には大量の汗が水溜まりを作り、体からは白い湯気が立ち上っている。月羽はちらりと視線だけを動かし、答えた。
「あん?……ああ……あれな。や、なんか知らんが技の型を身に着けるための稽古だとよ」
「型……?」
「いろんな格闘技に取り入れられてるんだよ。じっくり見てみ。ちょっとずつ動いてるから」
きずなが目を凝らすと、確かに——
令子の体は極めてゆっくりと、まるでスローモーションのように動いていた。
一つの突き、一つの蹴り、一つの受け流し。
すべての動作が、極限まで精密に、極限までゆっくりと繰り返されている。
「す、すごい汗……」
「ボクも詳しくは知らんが……ものすごい筋肉を使うらしい。
話しかけても多分意味ないぞ。一つの技を打つのに、一日かけるからな」
月羽の言葉に、きずなは息を飲んだ。令子の額から滴り落ちる汗が、地面に落ちる音さえ聞こえてきそうなほど静かな空間。
その中心で、総長はただひたすらに「型」を刻み続けていた。
一瞬の隙も、一切の無駄も許さない、極限の集中。きずなの瞳が、憧れと尊敬で輝いた。
「……すごい。
令子様って、本当に……ずっと、そんなことしてるんですか?」
「え?ああ。あいつ馬鹿だからなぁ、強くなるためにはよくわからんことするんよ。
あんま真似すんなよ。戻ってこれなくなるぞ」
月羽はそう言って、釘を刺す。きずなは拳をぎゅっと握り、令子の背中を見つめながら小さく頷いた。
「……うん。
あたしも、もっと頑張る!
令子様みたいに、強くなりたいから!」
「聞いてねえ……」
湯気を上げ続ける令子の姿は、まるで一つの彫像のようだった。
憧れるきずなの姿を月羽は天を仰いで嘆いていた。
その横で、二人の少女は静かに、それぞれの「強さ」を思い描いていた。
呪文
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イラストの呪文(プロンプト)
イラストの呪文(ネガティブプロンプト)
- Steps 28
- Scale 6
- Seed 4120753648
- Sampler k_euler_ancestral
- Strength 0.45
- Noise 0
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- Sampler k_euler_ancestral
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