本日のランチ
『食彩探訪』11月号特集
「11月8日 秋香る“きのこと鮭の定食”──旬のやさしさに包まれて」
文・撮影:田嶋 達郎(グルメ記者)
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週末の昼、店内には出汁と焼き魚の香ばしい香りが漂っていた。
この日の定食は、鮭の塩焼きとしめじのバター炒め。
焼きたての鮭は皮目が香ばしく、箸を入れると中はしっとり。脂がほどよくのっていて、噛むたびに旨みがじゅわっと広がる。その隣に添えられたしめじのバター炒めが、鮭の塩気をやさしく包み込むように支えている。バターの香りに秋のきのこの風味が重なり、思わずため息がこぼれるほどだ。
小鉢のサラダはシャキッと新鮮で、口直しにぴったり。
味噌汁には豆腐とわかめが入り、控えめながらしっかりとした出汁が体を温めてくれる。
そして、たくあんがまたいい。塩気と歯ごたえが、食卓のリズムを整えてくれる名脇役だ。
派手な演出も特別なスパイスもない。けれど、ひと口ごとに感じるのは“誠実なごはん”の力。
旬を大切にするこの店の心意気が、皿の上にそのまま表れている。
食後、湯気の立つ茶碗を手に取りながら、思わず微笑んだ。
――「こういう昼飯が、一番うまいんだよな。」
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次回(11月9日)は、あの店特製の「煮込みハンバーグ定食」を紹介予定。
味覚の旅は、まだまだ続く。
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