異世界遺跡探訪

2024/06/17

使用したAI Stable Diffusion XL

元の世界では観たこともない巨大な石像建築を見上げながら、はしゃぐ彼女を尻目に俺は憂鬱だった。元の世界に戻る方法を考えるのが先決だと言うのに、こうやって呑気に遺跡巡りをやってて良いものか。どうしてこの、ハードボイルドを気取りニューヨークやシカゴのうらぶれたバックストリートが似合うであろう私立探偵の俺が、こんな竜が空を飛び指先から火を放つような素っ頓狂な異世界へ飛ばされねばならぬのだろうか。そしてこの、バイトで雇って間もないあっけらかんとした、開放的すぎる性格の女子大生がオプションで巻き込まれるとは。そもそも学費を稼がなければとヤバい風俗に手を染めようとしてしたところを助け出した縁で雇ったのだが、今どきの若い娘はここまで能天気なのか、と誤解したくなるぐらいには感覚で動くタイプで、元の世界でも異世界でも俺を悩ませること請け合いである。まあ、何処に居ようが転生しようがポジティブに考えて動けるというのはある種の才能だとは思うのだが……とにかく、この異世界は元の世界で言うところの15世紀ぐらいの欧州のような雰囲気で、何でもかんでも魔法で解決するので戦争もなく割と平和なのだという。どんな屈強な男でも魔力の高い女には赤子の手をひねるように屈服されてしまうので、高位の魔法使いが王族貴族として国家を支配している。旅に出るにしても魔法使いはものものしい装備も必要なく、ローブの下にミスリル膏とかいう全身に密着させる肌着のようなものを纏っていれば剣も斧も、炎も電撃も撥ね返すのだという。で、どういう訳か彼女は魔力がやたらに高く、この国の偉いさんに認められて魔法騎士という地位を得て、こうしてミスリル膏を纏っているのだが……目のやり場に困って仕方がない。ローブを上に纏え、と再三注意しても鬱陶しいからいいです、と拒んで弾ける若さを存分に発散発露しているという具合である。顔立ちは上品なくせして、頭の中と首から下は下品なのはどうにかならないものか。哀しき男の性で、はしゃいで揺れる胸と尻を注視しながら懊悩していると、ふと遺跡の奥に人影を認めた。頭からすっぽりとローブを纏い、長身痩躯の、足取りからして女性、優雅ではあるが、こちらへ迫る殺意がひしひしと伝わってくる。戦争が起こらなくとも、人間は憎悪があれば啀み合い殺し合う生物なのはこの世界でも共通事項らしい。おそらく、あの高慢極まりなかった皇太后とやらを平手打ちしたことへの報復のようだ。しかし、平手打ちをかました当人はまったく気づかぬ様子で、あっけらかん、呑気に構えている。おまえが前衛で戦わねば俺はひとたまりもないのだ。ようやく空気を察し彼女が振り向いたところへ、顔の見えぬ相手方は人の顔よりも大きな火球を二つ、三つも繰り出してきた。まったく、ハードボイルドどころではない。俺は消し炭にならないだけで精一杯──。

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美麗な背景、赤いぴっちりスーツを纏ったおかっぱ美女。あまり意図を考えずに生成したアンバランスな画像をどう解釈すべきか、と即興で練ったキャプションであるが、ハードボイルドな私立探偵が異世界に飛ぶという設定は星の数ほどあるなろう系異世界モノにまだ無い、世には出ていないと思うが、書いてもウケねえだろうなとは思う。もうちょっとボーイッシュな髪型だったら名もなき彼女も「あっけらかんで空気を読まない破天荒女子」というイメージが固定できただろうな、とは。

呪文

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イラストの呪文（プロンプト）

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