他流試合に挑む赤髪兄
赤髪祖父が挨拶をすると、二人の剣士が前に出てきた。
古束那矢都(以下、姑息な奴)「へっ……赤上っつったな?天才のこの俺に楯突いたこと、後悔させてやるぜ」
赤上小織(以下、赤髪兄)「………俺、負けませんから……」
一歩前に出て互いに睨み合う姑息な奴と赤髪兄。
赤上小鈴(以下、赤髪ちゃん)「お兄ちゃんガンバレ~!」
赤髪祖父の少し後方に座っている赤髪ちゃんが応援している。
ここは赤髪祖父が師範を務める道場である。ちなみに位置的には赤上家のすぐ裏である。
何故こんな所で他流試合をすることになったかと言うと、赤髪ちゃんと赤髪兄がデート………ではなく、兄妹でお出掛けをして、本屋でマンガの新刊を探している時、急に声をかけてきたのがこの姑息な奴だった。
姑息な奴は自分がとある流派の剣術道場に通っており。強いことをアピール。そして赤髪ちゃん………では無く赤髪兄をナンパしていたのだった。
しかし、妹との楽しいショッピングを邪魔された赤髪兄は非常に不機嫌になり、赤髪ちゃんもあからさまに不快そうな表情になっていたため、適当にあしらってその場を去ろうとしたのだ。
だが姑息な奴はしつこく食い下がってきた。そしてついに赤髪兄は姑息な奴が自分の事を女子と勘違いしていることを指摘(赤髪兄的には何故間違えられたのか謎だった)し、その場を去ろうとした。
しかし更にしつこく食い下がる姑息な奴に、赤髪ちゃんが「あんたなんかお兄ちゃんの足元にも及ばないんだから!」と言った事で状況が一変。今度は姑息な奴が不快そうな表情をしながら「ならどっちが強いか勝負しようじゃねえか!」と喧嘩を売ってきたのだ。
赤髪兄的にはそれも適当にあしらうつもりだったのだが、赤髪ちゃんが勝手に「その勝負受けて立つわ!」などと言ったため結局勝負する羽目になってしまったのだ。
そして。赤上流の道場を場所として提供し、赤髪祖父に審判を頼んだのだ。
さらに、道場に来るまでの間に姑息な奴が散々赤髪ちゃんを馬鹿にし、赤髪兄の事も「どうせ見かけだけ」などと言いがかりをつけてきたので、赤髪ちゃんがキレ、赤髪兄も妹を馬鹿にされて不快になったのか姑息な奴に言い返したりして、こんな状況になったのだった。
姑息な奴「おいじいさん、孫が可愛いからってえこひいきすんなよ?」
赤髪祖父「たわけ、そんな事はせぬわ」
姑息な奴「なら良いけど…」
そして、赤髪兄と姑息な奴はお互いに木刀を構えた。
赤髪祖父「試合は一本勝負。寸止めでキレイに一撃入った方を勝ちとする。場所は剣道で言う面、胴、小手のみ。突きは危ないので禁止とし、寸止めでなく木刀が当たってしまった場合はどんなにキレイに入っても無効とする。双方それでよいな?」
赤髪兄「分かりました」
凍速な奴「おう、分かったぜジジイ」
そう言うと二人は互いに相手を睨みつけた。一触即発の緊張感が漂う。
赤髪祖父「始め!」
姑息な奴「キエエエエェェェェェェイ!」
猿叫をあげながら一気に突撃してくる姑息な奴。しかし赤髪兄は冷静にそれを避ける。
姑息な奴「テメエ!何逃げてんだ!」
再び突撃しながら木刀を振りかぶる姑息な奴。今度はその打突を正面から木刀で受け止める赤髪兄。
姑息な奴「どうした!受けてばっかだな!ビビって攻撃できねえの!?」
赤髪兄「…………良いんですか、撃ち込んで?」
姑息な奴「何ぃ!?」
赤髪兄「いえ……結構腕に自信があるみたいなことを言っていたので………もっとすごい方なのかと思っていたんですが………」
姑息な奴「何だとテメエ!」
赤髪兄「ほいっと」
姑息な奴「うおっ!?」
鍔迫り合いの状態から軽く木刀を絡ませ、そのまま相手の木刀を自分の木刀ですくい上げる赤髪兄。姑息な奴の手から木刀が離れて落ちる。
姑息な奴「なっ……」
赤髪兄「勝負ありです」
木刀を突きつけそう言い放つ赤髪兄。後方では赤髪ちゃんが「わぁぁぁい!お兄ちゃんが勝った~!お兄ちゃんカッコイイ!」とか騒いでいる。
そして赤髪兄が突きつけていた木刀を離した次の瞬間。
姑息な奴「あめえんだよこの野郎!」
ドン!
赤髪兄「うわぁっ!」
姑息な奴のタックルを受けてその場に倒れ込む赤髪兄。そして姑息な奴はそのまま赤髪兄の上に馬乗りになる。
姑息な奴「舐めてんじゃねえぞこの野郎!女みてえな顔してるくせに調子こきやがって!」
赤髪兄に馬乗りになった姑息な奴は木刀を取り上げて放り捨てると、そのまま赤髪兄の顔に向けて何度も拳を振り下ろした。
赤髪兄「うう………」
姑息な奴「うぜえんだよどいつもこいつも!この俺をバカにしやがって!ぶっ殺してやる!」
何度も何度も拳を振り下ろす姑息な奴になすすべもなく殴られ続ける赤髪兄。…………………………いや、なすすべがない訳では無かった。赤髪兄はしっかりと頭を腕でガードしていたのだ。それにより姑息な奴の拳は全て赤髪兄の腕によってガードされていたことになる。
赤髪祖父「小織!いつまで寝ているつもりだ!」
赤髪祖父の厳しい声が響く。
赤髪兄「ああもう!せっかく耐えて終わらせようと思ったのに!どうなっても知らないからね!」
叫んだ瞬間赤髪兄は馬乗りになっている姑息な奴の下からスルリと抜け出す。
姑息な奴「何ぃ!?」
赤髪兄「ごめんね?じいちゃんが終わらせろってさ」
そう言った瞬間、赤髪兄は木刀を素早く振るって姑息な奴の面の位置にピタリと寸止めする。
祖国な奴「く、くそ……!」
咄嗟に何やら懐に手を入れる姑息な奴。だが、それを取り出す前に赤髪祖父の決着の宣言あ行われていた。
赤髪祖父「勝負あり!勝者、赤上小織!」
赤髪兄「ありがとうございました」
ぺこりと頭を下げる赤髪兄。
そして姑息な奴はそんな赤髪兄を睨みながら逃げるように道場を後にした。
・
・
赤髪ちゃん「お兄ちゃんスゴイ!カッコ良かったよ!」
赤髪兄「………いや……途中でタックル喰らっちゃったし、馬乗りになられた時、咄嗟に顔への攻撃を防ぐことしか出来なかった。……俺もまだまだだなぁ……」
赤髪祖父「それが分かっているだけ小織はまだましじゃよ」
赤髪兄「え………………普段人を褒めない爺ちゃんが・………どうしたの?」
赤髪祖父「たわけ、ワシがおぬしらを褒めんのは、おぬしらが技量的にも精神的にもまだまだだからじゃ」
赤髪兄「…………結局いつものお説教になっちゃった……」
赤髪ちゃんのお爺ちゃんのお説教のようなお話はまだまだ続きそうだった。
呪文
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