廃墟 「入ったら祝われる」
「これ、呪われるの間違いじゃね?」
「いや祝ってくれるんだろ?」
廃墟の前で二人の若者が張り紙の内容について、話していた。
「じゃ、俺、入ってみるよ」
「やめとけよ、ここは出るって有名な廃墟だぞ」
「大丈夫だって」
一人の若者が「祝われる」と信じて廃墟に足を踏み入れた。拳を高く掲げて意気揚々と進む。
しかしその背後には、暗闇から不気味な老婆の霊が忍び寄っており、祝福とは程遠い“歓迎”が待ち受けていた。
若者は拳を掲げたまま、老婆の霊に囲まれながら“祝福”の儀式を受けている。
しかしその表情は、喜びではなく恐怖と混乱。老婆の頭上からは神々しい金色の光が放たれ、まるで神聖な儀式のように見えるが、彼女の歪んだ笑みと骨のような指先がその祝福の異常さを物語っていた。
「祝福の儀式を行う。失敗したら“呪い”に変わるのじゃ」
若者に蝋燭の火を絶やさずに歩き続けるよう告げた。逃げ出すことも出来ず、蠟燭の火を持ち、廃墟の中を歩き始めたが、風で直ぐに消えた。
「あっ!」
「失敗したね」
「これは風が・・・直ぐに点けるから」
蝋燭に火を点けなおした。すると・・・
<ばん!>
「ひっ!」
呪われた祝福に変わった。若者の瞳は虚ろに。老婆の微笑みは祝福ではなく、呪いの始まりを告げていた。
ねこなみさくらさんの「張り紙」企画への投稿です。
元ネタはこちら
https://www.chichi-pui.com/posts/c3714f15-211f-44de-9ee2-372fc323a13f/
呪文
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