マンドリン法師、吟じる
一人、稲荷神社の参道までやってきたマンドリン法師の少女。
視力がほとんど失われてその景色を知ることは叶わないが、そこに流れる穏やかでいて活気のある心地よい空気は感じ取れた。
彼女は足の疲れを休めるついでに石段に腰掛け、愛用のマンドリンを構えた。
他の参拝客は通り過ぎる者、法師が何か始めるのかと足を止めて見る者とがぱらぱらと混じっている。
軽く調弦を施し、彼女は喉を開いた。
「吟じます!」
「稲荷神社の名物は稲荷寿司と聞いているけど~お~お~」
「何割かは参拝と称して娼館で~~え~え~」
「自分のおいなりさんを~~食べてもらいにきてる~~」
「あると思います!」
聴いた客は心底損をした表情で去る者や幾ばくかの小銭を置いていく者などが居たが、少なくとも小銭を置いているのは全員女性だった。
しょうもない亭主によくぞ言ってくれた料なのかもしれない。
彼女自身は誰が置いたか見えてはいないが、ふう、と一息ついてマンドリンを置く。
そして水筒の水を一口含んだところで奇妙な気配を感じた。
――m9(^Д^)プギャー
「……は?」
――ウリフタツ!ウリフタツ!
相手の気配が人間ではないことはわかったが、彼女には何が何に似ているのか、それすら判断できないのだった。
(ということでこちらの話は続きます)
https://www.chichi-pui.com/posts/b87fc1d8-383d-4dc1-ae6a-456c0305c832
#民族楽器 miya様ユーザ主催企画参加分です。
天津木村に邪魔されて詩吟と経文が混ざってしまいました。(※木村さんは何も悪くありません)
彼女が抱えているのは"マンドリン"。南ヨーロッパで使用される弦楽器ですね。
プロンプト上は"三味線"なんですが何回やっても三味線に見えないんですよねえ。。
そもそもは琵琶法師にしたかったのですが、琵琶にいたっては弦楽器なのか打楽器なのかもわからないアイテムがでてくる有り様でした。
マンドリン法師さん初出
https://www.chichi-pui.com/posts/59277741-4a30-4298-917a-c9e5c67daeb2/
今回は狐居ませんが、関連化け狐のシリーズは #稲荷神社と娼館の化け狐達 タグで纏めています。
よろしければ以下のリンクからどうぞ。
https://www.chichi-pui.com/illustration/posts/tags/稲荷神社と娼館の化け狐達/
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