いらっしゃいませ♪
期待と不安がないまぜのまま、洒落た店のドアを開けると、息を呑むほど美しいバーテンダーが笑いかけてくれる。
「いらっしゃいませ、初めましてのお客様ですね♪」
「まあ、バー自体が初めてなんですね!当店を選んでいただき、大変光栄です。」
「ご注文はいかがいたしますか?なるほど、カクテルを飲んでみたいと。」
「普段はどのようなお酒がお好みですか?ふむふむ。ビールやチューハイなどを呑まれるぐらい、と。」
「でしたら、少し甘めの飲みやすいカクテルはいかがでしょうか?はい♪かしこまりました♪では、少々お待ちくださいませ。」
流れるような無駄のない所作は、彼女の日々の研鑽を感じさせて見ているだけでも楽しい。
ど素人の私でも、彼女が一流のバーテンダーであることは容易に想像がついた。
魔法を思わせる手つきで、シェイカーから赤色の美しい液体がグラスに注がれる時には、すっかり私は夢中になっていた。
「お待たせいたしました。こちらシーブリーズというカクテルになります。」
「ウォッカをベースとして、グレープフルーツとクランベリーがミックスされたカクテルです。爽やかで飲みやすく、アルコール度数も高くなくて、当店では女性のお客様にも良くご注文いただいておりますよ。」
恐る恐るグラスに口をつけた瞬間、私は思わず「美味しい・・・」と呟いていた。
「お口に合いましたか?そうですか、それは本当に良かったです♪」
そう言って微笑んだ彼女は本当に美しかった・・・
ゆっくりとお酒を味わい、明日も仕事なので名残惜しいが一杯だけ飲んで帰ることにした。
「本日はありがとうございました。またのお越しを心よりお待ちしております♪」
その日の帰路、私は嫌なことなどすっかり忘れて、軽やかな気持ちになった。また、行きたいな・・・
----------------------------
バーに行かれたことのない方も多いかな、と思いましてストーリー仕立てにチャレンジしてみました。
長文となりましたが、お楽しみいただけましたら幸いです。
ちなみに話に登場したシーブリーズは実在のカクテルです。味や度数も一般的には↑で書いた通りです。
香澄さん「もし宜しければお試しください♪お酒が初心者の方にもオススメのカクテルですよ♪」
呪文
呪文を見るにはログイン・会員登録が必須です。