夏のスイーツ☆かき氷にて参加♪
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また、Osakeヒロインズが増えてしまいました……
夢崎月菜……そう、魔王女様、夢崎月美のお母さんです(’□’)
* * * *
ある夏の日のことだった。
博多の夏は、まるで夏の精霊たちが元気に跳ね回っているかのように、連日猛暑が続いていた。
なのに、この娘ときたら……。
「暑いからかき氷が食べたい」と、わがままを言ってくるのだ。
私が彼女に惚れていることを、分かっていて利用しているのだろうか……フフ、悪くない。
「アウディ~♪ 早よ来んね~☆ ここのかき氷、ずっと食べてみたかったっちゃ~♪」
かき氷か……氷を削り、シロップをかけて食べる――人間の食べ物らしいが。
まぁ、この娘が勧めるのなら、断れるはずもない。
あれは十五年前――飯塚で発生した、人間族の大虐殺事件から逃れてきた避難民の一人……。
それが、今こうして目の前でおいしそうにかき氷を頬張る、夢崎月菜である。
多くの者は家族と共に避難してきたが、月菜は孤児だった。
そのため、我が城で預かることになったのだ。
両親を亡くした辛さは計り知れないと思っていたが、彼女は実にたくましく――
時にお転婆で、時に思慮深く、鋭い洞察力を見せることもある。
さらに驚くべきは、人間族とは思えぬほどのマナを宿していたことだ。そして、何より可愛い。
ルミィアも上機嫌で、月菜に様々なことを教えている。
将来は、きっと素晴らしいレディになることだろう……と思っていたのだが――。
「ちょっと、アウディ? 何考えちょん? またエッチなことやろ?」
――ちょっと待て。この往来の真ん中で、何を口にするんだ?
確かに、君はチャーミングで、刺激的な格好をしている。
君のことを考えないはずがないだろう?
そう言えば、ルミィアには以前、「王としての自覚を持て」と釘を刺されたな……。
はぁ、王という立場も楽じゃない。
「仕方ないだろ? 君は美しいし、君のことを考えるのが、私の日課だ」
「ぶふっ! 普通にキモいんやけど? ほら、いいけんこれ、食べりーよ♪」
そう言って、彼女は自分が使っていたスプーンでかき氷をすくい、私に差し出した。
――やれやれ、間接キスなど気にしないのか? まぁ、私は大歓迎だが。
どれ……はむっ……。
その瞬間、私の全身が「美味しい」という感情に包まれた!
な、なんだこれは……? 確かに、以前にも食べたことはある。
だが、ここまで美味と感じたことがあっただろうか?
驚いている私を、月菜がニヤニヤしながら見つめて言った。
「あっはは♪ なにその顔~♪ そげん美味しかったと? ほら、もう一口いっとく?」
「……うむ、いただこう」
なぜ、これほどまでに美味しく感じるのだろう――。
それは、月菜と一緒にいるからなのかもしれない。
「アハハ♪ アウディおもしろ~い♪ そげん美味しかと?」
「ああ、うまい。君と一緒だからか?」
「ん~なんね? ほれ、それじゃここにあるのも一緒に食べて、暑さふっとばそー☆」
やはり、この娘はどこか不思議な存在だ。
五百年以上生きてきて、こんな感覚を覚えたのは、初めてだった。
決めた。もし「番(つがい)」を持つのなら、月菜しかいない。
この娘となら、この国を――もっと平和で、安心して暮らせる国へと導ける。
彼女となら、未来を託せる。そう思えた。
その美しい蒼い瞳を見つめながら、私は王であることを忘れ、一人の男として、穏やかな休日を過ごしていた――。
……なのに、なぜ――なぜ、あのようなことが起きたのだろうか?
呪文
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