ご主人様と三人のメイド 終章その2「悪魔と呼ばれた男の血を継ぐ者の考え」 終章その3 プロローグ「空からの来訪者」
まくってたので延び延びorz
クオンに関しても主人公であるライに関しても邂逅編で大体は、
終わってるので繋ぎ的な話になるのは仕方ないんだ()
屋敷の庭
「はぁ……はぁ……」
「ふむ、まぁ、こんなものかな」
「ま、まだまだ」
「身体に負担をかけすぎるのも良くはない。休息も修行だよ」
「わ、分かりました」
今現在、義父(予定)と鍛錬をしている。あの殴り合いの後。
「ライ君、君はまだ強くなれる。今までも人の力を借りたり、それ
こそ時には、実力で障害を排除してきたのだろう」
「は、はい」
「だが、強さはより強い敵を呼び寄せてしまう。君のお爺さんが
良い例だな」
かつて格闘大会に出ていた頃のスポンサーとして関わっていた、
爺さんと優勝者として知り合い、多少繋がりはあったらしい。
ついでにボディガードまがいな事もしてたとかなんとか。
「君の戦い方は、彼女の教えか。悪くはない……が、君には少々
窮屈に感じるのは、それこそ性別の差もあるか」
ばあやとも時には協力し、時には仕方なく敵対をする事があった
という。世の中は狭いと言うべきなのか、これも人の縁と言うべき
なのか。
紆余曲折を経て、自己の強化のためでもあり、義父(予定の)、
錆び付いた感覚を取り戻すというのも兼ねて月に何度か手合わせ
をする事になったのである。
「お二人ともお茶をお持ちしました」
「おお、すまないねクオンさん」
「ありがとう」
お茶を飲みつつ、一度聞いてみたかった事を聞いてみる。
「爺さんは……どんな人だったんですか?」
「ふむ?」
「父さんは、ああいう大人にだけは絶対になるなと言い、今でも
生き残ってる親戚からは、ある意味では神みたいな扱いをされて
いる」
俺が知る爺さんは良くも悪くもどこにでもいる平凡な人だったが、
調べればろくでもないというか。それこそ、女癖が悪く、敵対者達
からは悪魔と呼ばれるくらいの人物だ。
「私からすれば稼ぎになる大会を開いてくれるスポンサーの一人と
しか言いようがない……が、神にも悪魔にも例えられるのは間違
いではない人だな」
「……」
「時には敵対側についていたが、俗に言う襲撃の実行者には優しい。
一方でそういう命令を下した者に対しては容赦ない。文字通りの
族滅レベルの事をやって恐れられ、晩年まで続いたとは聞いた」
「そうですか」
「君にとってはそうではなかったようだね」
「俺や屋敷で働く皆に対してはそれこそ、普通の爺さんでしたよ。
まぁ、女癖の悪さは父は嫌ってましたが」
子供の頃は分からなかったが、大人になった今なら良く分かる。
ただ、手を出して放置ではなく、きちんと世話をしていたらしく、
そっちの方での恨みは少なかった……はずだ。
ただ、結果として爺さんの死後に遺産やら何やらで揉め事が起き、
父の死に繋がり、自分が後始末をする羽目になったわけだが。
「仕事……主に金に関わる件では不正を行った輩に対しては、容赦
をしなかったとは聞いている。君のお父さんや君の苦労を考える
ともう少しの間は生きてればと思わないでもないが」
当の本人は大往生と言うべきか、畳の上で亡くなったからな。
「君は……よく見て見れば確かにあの爺さんによく似ている。気質
や性格は特にな」
「そうでしょうか」
「君のお父さんはそうならないように、育てようとしたのだろうが
こればかりは、本人次第と言うべきか」
そう言葉を区切ってこちらを真剣な目で見てくる。
「娘達を君に託した以上、とやかく言える立場ではないがね」
夜
「そういえば、初代様が数日内に帰ってくるようですよ」
「そうなのか?」
夜、事を終えて寝ようとしていた時に思い出したようにクオンが
そう告げてきた。
「えぇ、少し嫌な予感がするとかなんとか」
「嫌な予感……か」
こういう時のばあやの予感は大抵当たるのが困りものではある。
「少し警戒を強めておくように明日の朝に伝達を頼めるかな」
「分かりました」
そして、予感は割と即訪れるのである。
終章その3 プロローグ「空からの来訪者」
「上空に生命反応!?」
「数は1」
「庭に……庭に降り立ちます。ご主人様とイノリさんが居ます!!」
予感があった。だから僕はイノリの傍に居たのだが、そこに音も
なく純白の翼をもつ……"天使"が現れた。
咄嗟にイノリの前に立ち彼女を庇う。
「……。そう恐れる事はありません」
無機質だが、敵意は感じられない声でそう語りかけてくる。
「空からは無礼だと思いましたが、正面からでは時間がかかります
ので」
いつの間にかいたもう一体……もう一人の天使がそう言う。
「君達は一体」
「貴方達、人間が天使と呼ぶ存在。正直に言えば翼がある以外ほぼ
変わりないのですが。滅多な事では人前には出ないもの」
「そんな天使達が何の用なのかな」
屋敷の方が騒がしい。空からの防御に対してもそれなりには用意
しているのだが、それらが一切作動しなかったので混乱中だろう。
「ちょっと指示を出すが良いか」
「……」
「構いませんよ」
問題ない事をインカムで伝えつつ、改めて向き直る。この天使達
の狙いは恐らく……いや、間違いなく。
「そちらの女性、イノリ様でしたか。貴女に用があります」
「私に……ですか?」
一呼吸おいて、天使達は語る。
「「……。貴女の実のお母様が会いたいと申しております」」
終章その3に続く
呪文
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