赤上小鈴の食事風景・天丼
伊織「どうじゃ小鈴、美味いか?」
小鈴「うん!とっても美味しいよお爺ちゃん!」
そう言って赤上小鈴は美味しそうに天丼を頬張った。
小鈴は今、祖父の赤上伊織と一緒に天ぷら屋に来ていた。
ここは祖父伊織の行きつけの天ぷら屋で、お昼時ともなれば行列ができる店だ。
特に名物の天丼は、老若男女どの世代からも人気のある一品で、この店に来たら必ず一度は食べるべきだと言われていた。
そして、今日はたまたま父天馬も母志織も兄小織も用事で出かけており、小鈴の昼食を頼まれていた祖父伊織がせっかくだからと小鈴をこの店に連れてきてあげたのである。
満面の笑みで天丼を食べる小鈴を見て伊織も思わず顔がほころぶ。
小鈴「でもお爺ちゃん、どうしてこのお店のこと知ってたの?やっぱり有名だから?」
伊織「なあに、この店だって昔から有名だったわけではない。ワシの若い頃は先代が店主でな、ワシと先代は同級生じゃったから、昔から知っておったんじゃよ」
小鈴「へぇ~、そうなんだ!」
ひとしきり感心してから再び「うまうま……(もぐもぐ)」とか言いながら天丼を食べる小鈴。
伊織「今の店主に変って、味は良くなったが………ワシには少しばかり美味すぎる。あの頃の……先代の味がたまには喰いたいのぅ……」
小鈴「お爺ちゃん……」
しんみりとした祖父伊織を思わずじっと見つめる小鈴。
小鈴(そっか……お爺ちゃんにとってはここの天丼は友達との思い出の味なんだ……もう亡くなった先代と友情を確かめ合った………)
???「くおら伊織!おぬし来るときは電話寄こせっているも言っとるじゃろうが!」
小鈴「へ?」
突然声をかけられ、驚く小鈴。思わず振り向くと一人の老人が立っていた。
伊織「おう先代!元気かぁ!?」
先代「元気かぁ!?じゃないわバカタレ!お前が来たら今度一緒に呑もうと思っていた日本酒があるっつ~のに!」
伊織「待て待て先代!今日は孫に飯食わすために来たんじゃ!酒には付き合えんぞ!」
先代「何?この可愛い子がお前の孫じゃと!?」
伊織「そうじゃ!どうだ、可愛いだろう!」
先代「ぐぬぬぬぬ………いいなぁお前は孫娘がいて……うちは男ばっかで……」
伊織「ぬはははははは!孫娘は良いぞ!可愛いし!めんこいし!愛おしいし!可愛いしな!」
先代「おのれ!可愛いって2度言いやがったな!…………よし、お嬢ちゃん、おじちゃんがこんな天丼よりもっと美味い天ぷらを揚げてあげよう。こっちにおいで」
小鈴「へ?」
突然小鈴の手を掴んで連れて行こうとする先代。慌てて止める伊織。
伊織「おいコラ待て待て待て!ウチの可愛い孫に何する気じゃ!」
先代「いや、わしがカッコよく天ぷら揚げるところを見せてやろうかと」
伊織「いらんわ!それにおぬし!そもそも店主の座を息子に渡してからというものまったく天ぷらを揚げなくなって、今じゃもうまともに揚げられんだろうが!この間の黒焦げ天丼の味は忘れんぞ!」
先代「イヤイヤ待て待て!大丈夫だって!この間はなんとなく上手くいかなかっただけだから。今日は大丈夫」
伊織「お前~!そういうセリフは天ぷら揚げる練習をして少しはコツを取り戻してから言わんかい!」
何やら不毛な言い争いを始めてしまった伊織と先代。他の客が「なんだなんだ?」とジロジロ見ている。さらに店主が出てきて「おい親父!ランチタイム中に出てくんなっていっただろうが!」と先代を引っ張っていく一幕もあった。
小鈴(………つまり、お爺ちゃんの言う『先代の味がもう一度食べたい』っていうのは……先代が亡くなったんでも何でもなく、ただ単に先代の料理の腕が以前よりめっきり落ちちゃって、以前の味が出せなくなったって言うだけの話なのね…………)
何か、しんみりしたのがアホらしくなった小鈴だった。
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