小説『Monochrome This Passion』【ニャンノ世界】
『Monochrome This Passion』
煙草を吸いながら赤く灯りし帝都タワーを見つめる午前零時、
黒閃を発現させて、
空を見つめる。
青い空、綺麗な空だ、
しかして、本当に
綺麗なのだろうか?と
疑問の上にて浮かぶ波間に
目の前の世界が突如として
真っ暗に沈みはしないかと
不安なる思いは的中した…
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世界は灰色に染まる、突如として
広告塔として浮かび上がるは
踊る猫人形の広告、その猫人形は
摩訶不思議な躍りをしていた。
ブレイクダンス→破壊踊り→崩壊への道筋か?
周囲は悪夢に覆われる
猫人形が出現し
午前零時の喉元に向かって
攻撃をする。
「アナタはジェネリック・ネコノ、アナタもジェネリック・ネコノ」
異常事態の発生、
悪夢の存在を感知し、
召喚デバイスを発現させる
「この世の境界線を越えし者よ、守護の名の元に冥府へ還れ」
法陣を描き召喚するは
契約の名の元に
スヤハ・ネムリンが顕現する。
「アナタはジェネリック…アナタはジェネリック…」
ジェネリック・ネコノは
意を返さずに突撃してくる
無機物的に思考の余地なく
攻撃をしてくるのだった。
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自由主張の仮装構築的な怪異群は
様々に存在する。
それらは電脳的であり複雑さを帯びながら、其が何であれ、構築されし世界の深淵へと至らせようと
微笑みかける。
スヤハ・ネムリンが戦っている。
しかして、この戦いは
表層ではなく
幽世のものであるため、
端から見たら戦っている
などとは思いもよらぬだろう。
なんせ、秘密結社シャドウズは
その存在は秘密裏に構成されなくてはならぬのだから、
世界の裏側こそ
ダークヒーローの本懐なのやもと
午前零時は新聞型の戦略図を読みながら
スヤハ・ネムリンの指揮をする。
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存在の規定…、それ、乃ち
怪異と生命の狭間にて
境界線たれということ…
しかして、零環時代における世界的悲劇の事象、〈終末事変〉により、幽世と現世の境界線が曖昧になった。
この事は、他の地域でも、
幽霊写真として認識されていたものが、瞳にて映り害をもたらしてきた。
〈当たり前だったものが〉
〈当たり前じゃなくなった〉
視界に映りし風景が平穏であるとは限らない、怪異は影は、
怪物は常に狙っている。
其が、境界線を超えて牙を向こうと、やって来たら、
誰が護るのか、誰が守護者として存在せしめるのか、
考えなくてはならない
構造物が蠢いている
猫人形は笑っているのだろうか…
平穏世界に潜みし群像
怪異は確かに、見つめている。
だからこそ、秘密結社シャドウズは見つめ返すのだ。
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ー其は影の中で見つめているー
猫人形は収束し、冥府へと
帰っていった。
しかして、平穏が
すぐさま戻ったわけではない
厄災にエンドロールを流しても
画面が崩壊するだけであり、
新たなオープニングが始まるのみ
幕が上がる。
終焉の狼煙じみた
強迫観念と灰色の空に宿りし
宿命の波が同時に押し寄せる。
構築されし、笑顔の螺旋
安寧なる平和のリズムに
奏でられし
狂気性に溢れた笑顔ばかりが
交錯するのだ。
一言でいえば、〈謎〉
其が、この帝都の都市を
埋めつくしていた。
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「スヤハ・ネムリン、協力に感謝する」
「代償はパフェで宜しくね」
「あぁ」
協力には対価がいる
ボランティアで戦っている
わけではない…
契約者として対価たるものを
叶えるのも責務であり義務である。
猫人形を撃破、そして
続く、簒奪人形も撃破すると、
日常へと戻る
色彩が次第に
鮮やかになっていく
灰色の世界にあった
非日常と、
日常の境界線の色が
午前零時の視界に映る。
馴染みの珈琲店のパフェが好き
戦う糧となるのは甘いもの
彼は甘党であり、
ゆえにスヤハ・ネムリンもまた
この時間は楽園じみた
ハッピーな気持ちになれるのだ。
続く続く束の間の非日常に宿る怪異なる叙事詩
詩編は泡沫に眠りし闇を映すと同時になればこそ日常たるものへの輝きを照らしだすのやもしれない。
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