好奇心の行方
正体不明の怪物を近くでひと目見たい、その想いから船を出したヴェイダル博士と船員たち。
空に閃光が走った後、力を失い、崩折れる怪物が遠目に見えた。
「あんな怪物見たことねえ。近づくのはよしましょう」
「いや、正体を見極めたい。行ってくれ」
船員はため息をついた。
好奇心に火がついた彼を止める術はない。
ヴェイダルたちは海面に横たわる巨体の近くに船を寄せる。
無数に開いた傷口から蒸気のようなものが立ち昇っていた。
「自己修復しているのか……?」
怪物はすでに絶命しているようだった。
それでも細胞のひとつひとつは生き永らえようと修復を試みている。
ヴェイダルが細胞を採取していると、船員が小さく悲鳴を上げた。
視線の先には血まみれの少女が横たわっている。
その周囲には千切れた手足と黄金に輝く剣が4本落ちていた。
「……まだ息がある。急いで近くの村に向かおう」
おそらく、この少女が怪物と刺し違えたのだろう。
4本もある剣をどうやって操ったのか。
何か特別な力を持っているはずだ。
興味が尽きなかった。
応急処置を行い、剣を拾い集めたヴェイダルたちは船を走らせる。
海面を照らす月光が、波を受けてゆらゆらと震えていた。
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