ヒノイのクノイチ Epilogue「A few years later」
四カ国を巻き込んだ戦争が集結し、数年が過ぎた。
世界が緩やかに平和を取り戻しつつあるその裏で暗躍する「裏の住人」たちがいたが、彼等のあいだにはひとつの噂が流れていた。
「ヒノイのクノイチには決して関わるな」
目をつけられれば最後、捕らえられるその日まで安息は訪れぬ。
奴は我ら「裏の住人」にとっての死神だ。
「……と、随分ひどい噂が立ってる様でござるが、犯罪抑止に繋がるなら致し方なし…と」
クノイチがため息混じりに手の中のスイッチを押すと、眼の前の建物…誘拐組織の根城が爆発四散する。
彼女はそれを見届けると、通信機を取り出した。
「任務完了でござる。これから帰投…え?今度はシラクレナに行け?例の密輸団に動きがあった?ちょっと働かせ過ぎでござろう?」
現在の雇い主…彼女曰く「警察のお偉いさん」に向かって愚痴る…が、聞いてもらえる訳がなかった。
ニンジャとしての技術を見込まれ、警察に犯罪組織の調査・壊滅に手を貸す様になってはや数年。
すぐにお役御免になるだろうと思っていたが、裏の住人たちはなかなかに手強い。
活動範囲をヒノイ以外にも広めつつあるため、休む暇など有りはしない。
「まったく、何時になれば悪党の種は尽きるのやら……」
“ヒノイのクノイチ”の戦いは、もうしばらく続きそうである
呪文
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