アヤナギ荘の日常 #30 -Everyday Ayanagiso-
「ダンスか~…
うち、完全初心者だけどだいじょぶそ?」
「イチノの運動神経とリズム感ならきっと大丈夫!」
「ほんと?なら助っ人しようかな」
学校随一の運動神経を誇るイチノは、
そのノリの良さとフットワークの軽さから、
運動系の部活から助っ人を
頼まれることが度々あった。
そしてその日から、
昼休みや放課後の体育館での特訓が始まった。
慣れない振り付けに最初は苦戦したものの、
イチノの身体はすぐにリズムを覚えていった。
「んー、こんな感じ?…てか楽しいんだけど」
「おぉ〜…マジで動きキレてきた⁈ 流石はイチノ!」
本番当日。
ライトが照らすステージ、重低音が鼓膜を揺らす。
相手のダンサーが派手に技を決めた直後、
イチノは片手をつき、
身体をひねって空中で一回転――
完璧なブレイクで場内が沸いた。
後日、部室で見たSNSには、
笑顔で踊るイチノの動画がバズっていた。
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