“猛き古龍の成れの果て” ロトンドラゴン
それがロトンドラゴンである。
確かな記録は存在しないのだが、その正体は太古の昔に邪神との戦いに敗れた龍であると、吟遊詩人達の歌に残っている。
生きながらにして体が腐敗する呪いを掛けられたこの龍は、持って生まれた不死に近い生命力のため死ぬ事も出来ず、体組織の腐敗と再生を繰り返しながら、気が遠くなる程の年月の間、荒野を彷徨っているのだ。
王国最強の騎士団も、伝説のモンスターハンターも、世界を魔の手から救った勇者一行も、ことごとくその討伐に失敗した。
何故か。
“匂い”である。
とにかく臭い。
臭いのだ。
近づく事が出来なければ、例え伝説の聖剣であろうと無用の長物である。
その昔、高名な大魔導士が究極魔法“メテオ・ストライク”によって遠距離からの物理的消滅を狙ったが、周辺地域に腐肉を爆散させて大迷惑を掛けただけに終わった。
基本的にロトンドラゴンは荒野を這いずり回っているだけで人里を襲うような真似もしないので、現在は“そんなものは居ない”と言う事にして放置されている。
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