小説『コワイ・アクイ 夏祭りの怪異』【ニャンノ世界】
『コワイ・アクイ 夏祭りの怪異』
可愛い声で調査員Kに寄ってきた
「おにいちゃん、おいかけっこしよ」
調査員Kは警戒しつつ
観測を開始する。
何事も、調べない
知ろうとしないからこそ、
恐怖というものは
生まれるわけであり、
未知が既知となって
始めて…
交流というものは
生まれるのだから…
調査員Kは彼女の願いに応じて
おいかけっこする。
おいかけっこしつつ、
電車が来ないことを異界村と呼ばれるゲートに来る前にモデルとなった場所は実地調査で知っていたので、彼女をぶっちぎって、困惑させた。
「おにいちゃん、どこ…」
声など聞こえるわけがないし、
見えるはずもない…
なぜなら、調査員Kの鍛えあげられた
足は歴戦の歩兵の如く
強靭なのだから…
次第に涙を流すコワイ・アクイ
最初は…恐れを抱く存在であったが、
調査すれば案外可愛い怪異なのやもと…
思いながらも…
鬼の心で制限時間まで身を潜める、
調査員K、
相手は人間ではなく怪異
彼は残機1の死んだら終わりの
生命なのだから…
戦いは非情だ…
しかし、コワイちゃんは、
足に自信があった。
だが、相手がプロじゃなければ、
勝利し相手をボコボコにして
怪異化させていたことだろう。
実際、彼女のファンクラブは
涙を流させはしまいと
奮闘し、捜索に努めたが
調査員Kは見つからず
遂には…タイムリミットが迫り
彼女は泣いた…
「おにいちゃんに、はじめて、まけた」
うぅ…うぅ…と
悲しみを励ますのは、他人ではない
自分しかいないのだとでも
言うように周囲には
ちびコワイちゃんが励ましている。
「ダイジョウブダヨ…、キョウノマケハアシタノカチ」
「ミンナショウリ、ハイボクナンテナカッタ」
「サァ、コワイチャン、アノヒトヲ」
「駄目だよ!遊びは真剣、負けたのは変わらないから…ぐっくっうっ、うわぁぁぁん」
悔しさが嗚咽へ、
天をつんざくほどの涙が響き渡り、
調査員Kは、いてもいられなくなって
「あぁ、もう、なんとかなれだ!」
となって、屋台で焼きそばを買い
コワイちゃんの元へ向かうのだった。
焼きそばを渡す、怪異だから
ピロされる可能性もあるが、
そん時はそん時で
対処すればいいと
調査員Kはコワイ・アクイと
飯を食べる。
丑三つ時の夜食…
調査員Kにとっちゃ罪な味である。
「異界村の焼きそばがどんな味かは知らんが…美味しいのか」
涙を流していたコワイの顔が
パッと明るくなる。
「うん!美味しいよ!他にもね異界村にはたこ焼きや~かき氷もオススメだよ」
「まぁ、摩訶不思議食堂で食べてきた味には及ばんがうまいな…」
「まかふしぎしょくどう!おにいちゃん、そのおみせやさんって、おいしいものがいっぱいあるの!?」
興味津々だった。
周りの怪異達も、眼を輝かせていた。
調査員Kは納得する…
彼らは様々な因果を背負った異界村の狭い世界しか知らないのだと、そして、
異界村は恐ろしいという印象で、
誰も寄らなかった…
だからこそ、怪異であり、
そして、人間の業によって
怪異化した悲しき存在なんだ…と、
ならば、調査員Kができることをするまでだと、奮起する。
「どうしたのおにいちゃん?そんなにニヤニヤして…コワイよ」
首を傾げ、ハテナマークを浮かべる
コワイちゃん、
焼きそばはずるずると食しながら
彼の分かりやすく噛み砕いた話を
聞いて
「なるほど、おにいちゃんは、ちょうさいんっていう、おべんきょうやさんなんだね」
「そう、だからね、人を襲わないって約束したら、広い世界を見れるかもしれないよ」
この子は子供だが、怪異であり
人を襲う危険性がある
幼少の頃は虫の命などお構い無しに
踏み潰したりするように、
怪異もまた人の命の重さを
理解せず噛み砕く恐れがある。
だからこその
ー約束ー
これからも、微笑んでいられるように
「やくそく、したら、また、遊びにきてくれる、ちょうさいんのおにいちゃん…」
もじもじと、コワイ・アクイちゃんは
ドキドキしながら、真剣な眼差しで
調査員Kを見つめる。
「あぁ、もちろん」
「うん、やくそくする!みんなもいっしょに!」
かくして契約が結ばれ、
或る塔にある異界村は
調査員Kの活躍により、
友好的な怪異のエリアとなり、
空には綺麗な花火が打ち上がり
喜びを告げた。
ニャンノルームズの一つ
或る塔、そして、其処にある
怪異が集う異界村、それは
訪れし者達をコワイ・アクイが
遊びという名のデスゲームへと成りて
怪異化させていたが、
調査員Kと約束したことで、
摩訶不思議食堂の怪異と
交流するきっかけもできた。
「わぁ、イヌさんや、ゴストライくん、それにコシロイくんも、うれしいなぁ~、いっしょにシャテキや、ニンギョスクイとかしよう」
「調査員Kさん、この度は摩訶不思議食堂のご利用ありがとうございます。コワイ・アクイさんと異界村の皆さんと一緒にお祭りができて、とても嬉しいです」
地蔵さんも微笑んでいた。
調査員Kは、謙遜する
「いいや、私は、異界村と世界を繋げただけに過ぎないですから」
奢ることなく、怪異を対等に見つめる
調査員Kの眼差しに映るのは
コワイ・アクイと異界村の怪異達の
笑顔が頑張る励みになるのであった。
彼の怪異調査は終わらない…
時には危険でピぬ可能性だってあるが、
世界が広がればキラキラを信じて
歩み続けるのだった。
(猫メモ)
本作はガッチマンさんの動画
【夏まつり】夏まつり…何もおこらないはずもなく…
https://youtu.be/dz85_etE36A?si=Ve-XxSnL-OFUHv3W
を視聴し、ホラーゲームに登場したキャラが可愛くて、その時にガッチマンさんが発した言葉
「怖い悪意を感じる…」
から、コワイ・アクイという名前が生まれ、キャラクター像は、そこから来ています。これは、皆さんにも見てほしいホラーゲームだなと布教の意味も込めて制作したものでもあります(о´∀`о)
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