おててあたたかいね!
だからかもしれない。ちょっとだけ、芽依ちゃんが怖かった。芽依ちゃんは今のアタシのことどう思っているんだろうって。
ある日、勇気をだして芽依ちゃんに「いっしょに帰ろう」って言ってみた。芽依ちゃんは驚いたような目でアタシを見つめる。そんなの、当たり前。アタシはいつも、放課後になると友達と飛び出して遊びに行っていたのだから。
もしかしたら気味悪く思われるかもしれない。胸が苦しくてドキドキする。アタシがうつむいて芽依ちゃんの言葉を待っていると、す、と視界に芽依ちゃんの手のひらが映る。
「うん。帰ろ。私、ずっと綾乃ちゃんと一緒に帰りたかったの」
思わず、アタシは芽依ちゃんの手をつかむ。そうすれば芽依ちゃんは照れくさそうに笑って、「手を繋いで帰る?」と尋ねてきた。アタシは恥ずかしかったけど、「うん!」と返事をする。
こんなに幸せを感じたのは、いつぶりだろう。
芽依ちゃん。あなたの手、あたたかいんだね。
呪文
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