最後の思い出
聞こえてくるのは、時たま通りかかる車の走行音と、キャンバスをひっかく木炭が奏でる音のふたつだけ。
私は無心で、彼女の横顔をそこに浮かび上がらせていく。
目を開けてくれないかと頼んだのだけれど、拒まれた。理由を聞くと、彼女はこう答えた。
「こうしていると、まぶたの裏にあなたとのたくさんの思い出が蘇るから」
私は何も言わなかった。私は私で、この絵の中にふたりの思い出を閉じ込めていたから。
次の瞬間、彼女の閉じた瞳から一粒の思い出がこぼれた様に見えた。
気のせいだったかもしれないが、私の手は無意識にそれを描き込んでいた。
今日、一組の男女が別々の道を歩みはじめる。
己の夢を追う旅路。ふたりが旅の行く末に求めるものは、同じではなかった。
“私の為に、あなたの/きみの夢を諦めさせたくない。”
お互いの想いが交わった瞬間だった。であれば、とれる方法はひとつ。
思い出の隔離作業が終わり、最後の夜を過ごした次の朝——
「またいつか」ではなく、「さようなら」と告げあって、私たちは別々の方向へと歩き出した。
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