こっちこっち!(はやくおいでよ!)
「男の子の少ない世界での異種間結婚」ってどんな感じなのかなと考えながら、三人娘の表情がくるくる変わるのでpuiいっぱい使ってしまいました。
「アイツ、検査結果どうだったのかな?」ニアが珍しく真剣な表情で二人に尋ねる。
「声、大きい」テヤンに指摘されて咳払いをする。
「わたしたちのお母様にはもう報告は届いているはず」アカネがつぶやく。
「まぁ見るからに健康だからさ、絶対大丈夫だって」ニアの笑顔にアカネはすこし不機嫌になる。
……そんな話じゃないのだ。
……私たちの配偶者候補のこの少年はヒュームの牡という希少種なのだ。
……ヒュームは希少種ゆえにいろいろと問題を抱えていて、3歳までの生存率は半分だと聞く(「顔合わせ」が3歳の誕生日のあとに設定されたのは多分そのため)。
……私たちなら1日寝込むだけで済む「10歳熱」で彼は意識不明になったのだから。
……そして、ヒュームは生殖能力が低いと言われている。
……わたしたちの「群れ」はかなり大きな賭をしたのだ。
……全人口の0.1パーセントに満たないヒュームの貴重な血統を迎え入れ、血族を強化するために娘三人の人生をベットしたのだ。
……もし、もしも、彼に子をなす能力が無かったとしても、もう私たちは他の牡とは交わることはできない。
……わたしたちにはもう「刷り込み」がされてしまっているのだから。
……「10歳熱」にかかるのは交配対象が決まった……決まってしまった証拠だと、ママたちは言っていた。
……わたしたちはもう、他の男性に恋することはない。それは彼もそうだけれど。
……もちろん人工授精という手法も、「夢を見ながら種をもらう」方法だってある。
……でもその場合、受精率はかなり低いし、ほとんどの場合女の子しか生まれないのだから。
……私は彼が大好きだ。愛してる。この二人よりもきっとずっと、もっと。
……これは「刷り込み」のせいじゃない。彼とずっと一緒にいて、そのフェロモン?の影響を受けているからじゃない。
……だから、彼と私の間に赤ちゃんができなくてもそんなの関係ない。
……でも、だけど。
「アカネ」
黒髪少女の思い詰めた表情を観察していた銀髪のテヤンが肘をつつき、スマホを見せた。
それは彼女の母親たちからのメッセージ。
『テヤンの未来の旦那様、健康そのものだって!』
『むしろ他の男の子よりも優秀みたいね』
『ウチの一族の星娘をあてたのは正解かも』
「……わたしたちを、彼をなんだと思ってるんだろう。種馬?」ぶすっとした口調のテヤン。だが、その表情は安堵と喜びに満ちていた。
「テヤンのママたち、ちょっと緩すぎないかしら」ため息をつくアカネ。
「オレはさ、そんなに関係なくアイツの嫁になるって決めてるから、関係ないし」
「ナニ、そのドラマのヒロインみたいな言い草」
「そう思っているのはニアだけじゃないから」おとなしいテヤンの表情にニアとアカネはすこしひるんだ。
「分かってる。わたしたちはこれからもずっと一緒だから」
「おーい!こっちこっち!」カフェの喧噪の中でも、彼にはその声が誰のもなのかすぐに分かってしまう。
「やっときたぁ」金髪のニアに続いておとなしい銀髪の少女のテヤンが小さく手を振った。
「貴方の分も注文してありますのよ」リーダー格のアカネが黒髪をさっと整え振り向いた。
少女たちの葛藤と不安と安堵のことなど知らず、彼は笑顔を浮かべて恋人たちに……金髪が眩しいニア、おとなしい銀髪のテヤン、リーダー格の黒髪少女、アカネ……に近づく。
「お茶の後、レポートの材料探しに図書館に行かない?」
三人は耳をピンと立て、同時に頷いた。
輝かんばかりの笑みを浮かべて。
呪文
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イラストの呪文(プロンプト)
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