警報!あざといアラート!第2話 #どこぞの大手アニメ制作会社が全力を注いだ奇跡の振り返りポーズ
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満天の星空と、水面を舞う無数の蛍の光。月のない夜だからこそ、その輝きは息をのむほど幻想的だ。
オレの名前はレン。美しい大自然と、そこに佇む美少女の組み合わせには世界で一番弱い、純情派の男。
「誰も知らない、秘密の場所だよ」とオレをここに連れてきてくれたリンは、まるで夜の妖精のようだった。
暗闇に浮かび上がる白い髪、蛍の光を浴びてきらめくドレス。
静寂の中、ただ2人きり。こんなの、好きにならない方が無理だ。
『ねえ、レンくん……。蛍の光って、なんだか儚くて……少し、寂しくなっちゃうね?』
そう言って、彼女はくるりと背を向け、そこから首だけを傾けてこちらを振り返った。
風にふわリと広がるスカート、そして、どこか意味深にオレを見つめる潤んだ瞳。
……。
……あ。
いま、オレの脳内で警報が鳴り響いた。
『――ピーーー! あざといアラート発動。
対象:リン。
あざとさ濃度:1250%。
目的:ノスタルジーの悪用及び「守ってあげたい欲」の強制誘発。――』
オレの特殊嗅覚が、この美しい空間に混ざり込んだ強烈な『作られた可愛さ』を検知した。
つい10秒前まで、蛍に照らされる彼女の横顔を見て『神秘的すぎる……』と感動の涙すら浮かべていたオレは、もうこの世のどこにも存在しない。
「……ねえ、リン。一つだけいいかな」
(ふふ、完璧。この大自然のシチュエーションと、このポーズ。レンくんはもうノックアウト寸前のはず!)
『……なあに、レンくん?』
「その、どこぞの大手アニメ制作会社が全力を注いだ神作画でしか許されないような『奇跡の振り返りポーズ』。……残念だけど、それを三次元(リアル)でやると首の可動域の限界に挑んでいるようにしか見えないよ。ストレートに言えば、ただの寝違えた人だ」
『……え。……ね、寝違っ……!?』
「それからそのドレス。胸元に保持するだけの『山』が存在しないにもかかわらず、なぜ頑なに肩紐のないオフショルを選んだのかな? 蛍の光を反射して無駄に発光しているむき出しの背中と両腕、そして光の透過。すべてが『透け感と露出で釣ろう』という魂胆丸見えの、バックライト計算式じゃないか。重力と物理法則を味方につけられないスカスカのワンピースを、必死の姿勢制御だけでキープしようだなんて100年早いんだよ。この、偽装妖精が」
『……な、ななな……偽装って……っ!』
「さっきまで無言で蛍を見つめていた君は、オレの脳内ランキングで殿堂入り一歩手前の美しさだった。だけど、今の君は『あざとさの過剰積載(オーバーロード)』。ランク外だね。……さあ、その不自然にひねった首を真っ直ぐに戻して、さっさと普通の姿勢で歩きなよ。あ、ちなみに今さら泣き真似して目をこする『あざとい仕草』を上書きするのも厳禁だからね。ボクの心が絶対零度を突き抜けて凍結しちゃうから」
『……。
……う、うわあああああん!! なによそれー!! 折れそうなほどダイエットして背中磨いてきたのにぃぃぃ!!!』
涙を滝のように流し、ひねった首をグキッと直しながら、白目を剥いて猛ダッシュで逃げ去るリン。
湖畔の水しぶきをあげる足取りが、完全に週刊少年誌のギャグ漫画だな。
ふん、オレはあざといなんて絶対に認めないぞ。
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