ある子供の独白〜ムティホフマンの子供達
俺が拾われたのは、まだ“鬼人”なんて呼び名すらない時代だ。
あいのこはどこでも嫌われる。人にも魔にも混ざれず、居場所なんて無かった。
路地裏で寝て、盗みで食って、殴られて、石を投げられて……
そういう毎日だったのを覚えてる。
あの人――ママに声をかけられた時も、
俺はぜんぜん信じてなかった。
「お腹、空いてるでしょ。うちにおいで」
優しかったけど、俺にはそれが逆に怖かった。
だって、生きてりゃただ飯なんて無い。
何か企んでるに決まってる、とずっと思ってた。
それに俺は、ママの強さも知ってた。
竜の炎で一帯を焼き払うような魔界屈指の戦力。
俺なんか指一本で吹き飛ぶ。
だから最初は、“逆らえねえから従ってるだけ”だった。
忠誠なんて、言葉だけのつもりだった。
多分、他のキンダーだってそうだったはずだ。
でも、それがひっくり返ったのは――
仲間が死んだ日だった。
伏兵にやられて、そいつはあっという間に血を流して倒れた。
俺は動けなかった。
まだ狙われてるかもしれないのに、ママは他の近衛を振り切る勢いで、すごい音を立てて走って……
その場に跪いて、抱きしめて、泣いた。
泣いたんだ。ママが。
俺は目の前がぐらぐらした。
心臓の奥をぐいっと掴まれたみたいで、息ができなかった。
“ああ、この人、本気で俺たちを子どもだと思ってる”
ようやく分かった。
俺たちを兵にするための優しさなんかじゃない。
あの涙は嘘がつけるもんじゃない。
あいのこが死んで悲しいなんて思う奴、世界に何人いる?
あの日から、俺たちは変わった。
訓練をサボらなくなったし、
戦場での足も止まらなくなった。
傷だらけでも、帰ればママが料理を作ってくれる。
叱って、笑って、寝かせてくれる。
それだけで、生き返る。
一度だけ言ったんだ。
「俺たち、ママを死んでも守るよ」
ママは一瞬驚いて、それから
すごく寂しそうに笑った。
「死なないでね」
俺は笑ったけど、胸は痛かった。
……でもさ。
もしママが死んだら、
俺たちは全員、あの時のママの顔になるんだ。
それだけは絶対に嫌だ。
だから俺は守る。
どんな姿になっても、どんな敵が来ても。
俺の命が燃え尽きても、ママが生きてりゃそれでいい。
だって――
血も種も顔も関係ない。
あの日からずっと、
俺にとって“ママはママ”なんだよ。
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プロンプトは2枚目のものです
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ママの立場のお話はこちら
「ママはママ」
https://www.chichi-pui.com/posts/d51592e3-5b31-44cb-9a35-d79df560b6a7/
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