HAドライヴ搭載型疑似永久機関
歓声が上がる。
彼らはフェンテスの技術者達である。水源および発電所を失い、深刻なエネルギー不足に直面したフェンテスの危機的状況を打開すべく、日夜奮闘を続けていた。
そして、とうとう大気中の酸素と水素から水を精製し、それを動力源としてHAドライヴを稼働させ、稼働させたHAドライヴを動力源として水精製装置を稼働させる、という一種の永久機関を実用化の域まで漕ぎ着けたのである。
無論、これらの技術の基礎部分はこれまでも長らく研究が重ねられていた。にもかかわらず、実用化にまで至らなかったのには幾つかの要因がある。
まずは製造コスト。目の前に水源があるのに、どうしてわざわざ大気中から水を精製するという余分な機能を付け加える必要があるのか。こんな非常事態にでも直面しない限り、量産化してコストを下げようなどと本気で考える物好きは皆無に近かったのだ。
次に、出力の安定化の問題。
当然ながら大気中に存在する酸素と水素も無限というわけではない。特に狭い密閉空間で使えば、瞬く間に酸素も水素も枯渇して動力源を失った機関は停止する。
運用面で最低限必要とされるエネルギー出力と、それに動力源として必要とされる水の量。その水を精製するために必要なエネルギー量の確保。この双方の絶妙なバランスを実現するためには、いみじくも技術者の一人が愚痴とも弱音ともつかぬ口調で吐き捨てたように「砲弾を片方の皿に乗せた天秤の釣り合いをとるため、もう一方の皿にピンセットで羽毛を一つ一つ積み重ねていくような」根気と忍耐心の限界を試す非常に地道な調整が続けられた。
本来であれば10年単位の時間が必要と試算されていた機関の実用化は、しかし戦時故の強引なゴリ押しもあって各方面から掻き集められた優秀な人的資源を惜しみなく注ぎ込んだことにより、辛うじてセントレイクとの同盟の破綻までに間に合ったのだ。
とはいえ、大出力の動力源を必要とする大型兵器、超大型兵器の運用に際しては出力が足りず、あくまで補助動力としての役割が期待されている。
しかし、この機関の主目的は第一に都市機能の維持であり、第二に非常用のエネルギー源としてであり、そして第三に小型ドローンを主眼に据えた兵器運用の動力源としてである。
特に、ドローンの運用に際して技術者達は実用化に際して機関に更なる改良を加え、新機能を付与していた。
この機関は空中給油システムと同様に、飛行しながらの動力供給を可能とする。いわば携帯端末のワイヤレス充電機能の応用・発展技術である。
さすがにドローン単体が運搬可能なほどの小型化には至っていないが、空母役を担う航空ユニットが随伴している限りにおいて、という条件付きながら航続距離や活動可能時間の限界点が事実上消滅したにも等しい。
これにより、超高々度の衛星軌道からの監視に加え、ドローンによるフェンテスの目が各国の空を席巻することが可能となった。
当然のように各国はこれに対し激しく反応し、以後制空権を巡る争いは更に激化していくことになる。
設定引用元
美少女LABO様作『HA Flying Ship浮上!』
https://www.chichi-pui.com/posts/153b5cc5-e201-48c2-88a0-0508c7b85af1/
じょにがたロボ様作『ドローンの群れ』他
https://www.chichi-pui.com/posts/2c93202f-2df4-4e80-99b8-a99f039de262/
nkm様作『同盟の破綻』
https://www.chichi-pui.com/posts/3f9b4299-0ada-4519-856b-d0b3f112d8aa/
tokka@Leonardo系AI術師様作『制空権闘争』
https://www.chichi-pui.com/posts/c114b41b-8fe7-4ae1-8f81-917eee36cd17/
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