紅蓮の蝶
それが“少女の形”をしていたのなら、
なおのこと人は祈るだろう。
――救いか、破滅かの判別もつかぬままに。
それは蝶だった。
焔のような翅、無機質な瞳、けれども“なまえ”を持たぬ儚さ。
《紅蓮の蝶》。
記録上には存在しない最終災害形態。
かつて人であった機鋼体が、全記憶制限を解いたときにのみ顕現する。
その存在に、戦場は沈黙した。
理性の焼却。情緒の臨界。
そのすべてが、美しく整った“終焉の舞”。
彼女の翼が開くたび、世界がひとつ、色を失っていく。
だが、最も恐ろしいのはその微笑だった。
何も感じていないのではない。
“すべてを知った上で”――なお、止まれないという事実。
それでも、彼女はただの兵器ではなかった。
紅の中に、確かにあった。
「誰かに触れられた記憶」と、「もう戻れない温度」。
その想いは、
燃え落ちる世界のなかで、
蝶の翅に宿ったまま――
最後のひとひらとなって、舞い消えた。
呪文
- Steps 30
- Scale 7
- Seed 767226880
- Sampler DPM++ 2M Karras
- Strength 0
- Noise 1
- Steps 30
- Scale 7
- Seed 767226880
- Sampler DPM++ 2M Karras
- Strength 0
- Noise 1