そんなに雌の匂いさせながら儂の乳やら尻やら見るんじゃねえ
本編のストーリー書き直してたりして進まないのでそれとは別の廃神社にいる時のサブストーリーってことでよろしくお願いします!
廃神社に辿り着き、さて、酒瓶と食料を荷物袋から出して床に置く。
だが、その日、そこに棲む化け狐は見るからに不機嫌な様子だった。
昼から酔っていること自体は珍しくなかったが、こちらを一瞥するなり、
「そんなに雌の匂いさせながら儂の乳やら尻やら見るんじゃねえよ」
言うとそれからこちらを見向きもせず酒を煽り続けている。
正直、雌の匂いという点は心当たりがあった。
ここに来る前、仕事で遊郭へ納品へ行ってきている。
その時、最近仕入れた都の方で美容に効くと評判の化粧水というものを試供品として提供したら我先にと遊女達に群がられたのだ。
やましいことは何もない。群がられるのは悪い気分ではなかったけども。
――仕事です。
「そうか、お前は雌どもを相手するのが仕事か」
つっかかられる。
――ええ、今日に限ってはこういう仕事だったもので。
言いながら荷物袋の奥から酒とは別の瓶を取り出して彼女の近くへ差し出した。
――化粧水というものだそうです。女性の肌に良いそうですよ。
「まさかお前、これを見返りに…」
――そんな外道に見えますか、私。
余計な誤解を生みかねなかったがどうにか説明を尽くして事実を伝えると、ふーん、とだけ返事をしてそれから、酒、と杯を突き出された。
彼女は枯葉と書いて『こよう』と自称している化け狐。
こちらの化け狐のシリーズは #廃神社のはぐれ狐 タグで纏めています。
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この話の時代や場所は曖昧ですが、化粧水は江戸時代も存在したそうですね。
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