最期のティータイムでございます
「少しばかりはしたないかと」
「貴方みたいなのがいるって事はここは現実ではないのでしょう? ならマナーに気を使う必要なんてないでしょう」
男は少し考えるそぶりをして柔和にほほ笑んだ。
「それにしても、世の中というのはままならないものね」
「いつの時代も富める者や為政者は恨まれるものでございます」
「知っているわ。それを一笑に付して、その上で民草のために行動するのが私たちよ」
でも、と一息置いて女は遠い目で呟いた。
「それでも、民草のためにと動いていたつもりだったけど、違っていたのかしら……」
女の生まれて初めての弱音に対して男は少しの逡巡の後に口を開いた。
「貴女様の熱意と輝きは、無くなって初めて人々は気が付くのでしょう。人類は常にそうしてきたように」
「……世辞として受け取っておくわ」
「それでは、最後のお務めにいってらっしゃいませ。お嬢様」
「はっ、女王に対してフロイラインとは、言ってくれるね死神風情が」
―――
AIピクターズさんのお題が死神だったのでそっちと混ぜてみました。
呪文
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