そして竜は目覚めた
「え、竜?」
森と共に住む生物は多様性に溢れており様々な種類の生き物がいるのは知っていたが、あれ程までに巨大な竜はお伽噺ならともかくとして、存在すら知らなかった。
竜が咆哮する。大地が震えた。巨大な体躯は空を埋め尽くし、強大な力に押しつぶされそうでエルザは恐怖に苛まれた。
わけがわからなかった。レスランドに襲われたと思えば、見たこともない巨大な竜がやってきたのだ。助けなんてどこにもなかったのだとエルザは理解した。
「あ……、ああ……」
声も出ない。見上げた龍と目が合ったような気がした。もう、エルザには竜の鳴き声は聞こえない。森の焼ける匂いもわからない。自らの命がまだつながっていることもわからない。時間が止まったような中でエルザは竜にひれ伏し、情けなくも命乞いを始めた。
「お願いしますぅ……命だけは、何でもしますから……」
その声が聞こえたのか、その願いが通じたのか、竜は何もせず飛んだ。
エルザが茫然と竜が飛んで行った方向を確認すると、それはエリザ達の砦の方だった。
そしてまるで地に星が降るように、竜が凄い勢いで突撃した。
しばらく茫然としていたエルザだったが、フラフラと引き寄せられるように竜が飛んで行った場所に歩き出す。
そこには地獄のような光景が広がっていた。燃え盛る炎の奥に竜を見た。レスランドの侵攻軍は竜に恐れをなしたのか全く見当たらない。
一通り暴れまわった後なのか、少し落ち着いた様子の竜はエルザの瞳の奥を覗き込むように見つめる。
それはどれほどの時間だったのか、竜は雄叫びを上げると空に舞った。エルザの真上で旋回するように一回りすると、どこかへと飛んで行った。
しばらくして遠い何処かでまた竜の咆哮が響いた気がした。
tips
暗き森の深淵竜・ネレスティア 神田樹さんの作品の設定をお借りしています。
https://www.chichi-pui.com/posts/ec57578d-c3af-42f0-b40d-b67d906a9b5d/
レスランド侵攻防衛線 in 深淵竜ネレスティア と同時期の想定です。
https://www.chichi-pui.com/posts/e93dbdc8-61e6-49be-ab79-06fd35e97f27/
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