玉響チトセの優雅なティータイム
「ええ、お休みですわね」
異次元の衝突の朝、玉響(たまゆら)家の令嬢である玉響チトセは、制服姿でのんびりとモーニングティーを楽しんでいた。
世界が切り取られるという前代未聞の事件に、ヒノイの社会は混乱していた。
また、異なる世界同士の邂逅という衝撃は大きく、状況を把握するにも情報が錯そうしていた。
チトセが通うヒノイ国立白百合学園もまた、安全の確認が取れるまで生徒は自宅待機となっていた。
「教師の皆様も突然の対応に追われている最中。休みも止む無いことでしょう」
チトセは紅茶の香りを楽しみ、一口飲もうとして、一旦下げた。
チトセは猫舌であった。しかしフーフーと息で冷ます姿はなるべく見せたくないのであった。かと言って最初からぬるいものは飲みたくないのであった。わがままであった。
「それではお召し物をお取り替えいたしましょう」
「結構よ。折角の紅茶が冷えてしまうわ」
休みなのに制服姿、紅茶が冷めないと飲めない主へ申し出た執事の提案を断り、玉響家の令嬢は微笑む。
「それに、そろそろ迎えが来る頃ですわ」
チトセがティーカップをテーブルに置くと、扉がノックされる。
「お嬢様、総務省特異戦略局の者がお会いしたいと…」
「ほらね? 行きましょう」
「制服のお姿の理由は、公の場に出るからでしたか」
「ええ。この異能だからこそ、呼ばれるのですわ」
チトセは既に"この朝"を体験していた。
玉響チトセの異能、『時間遡行』は対象の時間を戻し、異なる世界線へ分岐する可能性を秘めた力。
これまでヒノエの行く末を占うのに重要な役割を担っていた。
今回もまた、その異能を基に運営をしていくことになる。
「今日も飲めなかったわ…」
チトセは未だ冷めやらぬ紅茶を名残惜しそうに見てから、部屋を後にする。
彼女がこの朝に紅茶を飲める世界線へは、まだ辿り着いていないらしい。
――グランシュライデ、ヒノイの国の令嬢の物語が始まる。
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