サイボーグ娘
人類は歯止めがかからない人口と労働力の減少への対応策として、各国政府は人間の全身をサイボーグ化することを決定した。
多くの人間をサイボーグ化することにより、その寿命を飛躍的に伸ばし、安定した労働力を確保することに成功した。
しかし、サイボーグ化された人間のほとんどはなんと貧困層だったのである。
意外にも権力者達は永遠の命を欲することはなかったのだ。
サイボーグ化した人間の多くは『替えの利く永遠の労働力』として代々の権力者達に数百年にわたり酷使されることになった。
手も、足も、眼球も、心臓も交換すればOK、脳さえもクラウドに保存された記憶データをインストールしてしまえば元通り。
代わりの皮膚を買うことができず、内部構造が剥き出しのまま生きる者も少なくない。
『人間らしく死ぬ』権利すらも与えられないサイボーグ達は死すらも生温い永遠の生を彷徨う。
約200年前、極貧家庭で育ち唯一の肉親であった母親を病気で失い、生きるために仕方なくサイボーグ手術を受けたとある少女は言う。
「ねエ…早ク私をこワしてヨ…わた死はイツになった羅お母サんのトこロへいヶるの…?」
呪文
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