また違う道へ(CA:4話)(完)
あの音声の謎は気になるが、すぐにでも"黄昏梟"や"越夜隊"なる集団がノーマンズランドに集結し、研究のイニシアチブを握ろうと、多くの血が流れるはずだ。
私たちは旅人。
好奇心に従い、自由を旅する者。
おそらくあれは、この晴れ晴れとして寂しい世界に刺激もたらすだろう。
この終末を、終末でなくすことはできないかもしれないが、
人々の終末の過ごし方に変化を与えるに違いない。
そうなった世界を五体満足で堪能するためにも、火中の栗は無理に拾わず、鎮火を待つべきだ。
騒がしくなってきたノーマンズランドから逃げるように、私たちはまた歩き始めた。
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「じゃあね」
少しの間、一緒に過ごした彼女とも、これでお別れだ。
別に、彼女のことが嫌いになったわけではない。
ただ一つ文句がある。
こいつは、ワクワクするものが目の前にあると、食欲が消えるタイプだった。
きっと、前世で食い過ぎたのだろう。
おかげで最近はひまわりの種しか食ってない。
……次は、もう少し食べ物に執着する旅人と行動するのもいいだろう。
「あ、そういえば名前を聞いてなかった。私はクリム。あなたは?」
…まったく、こいつは何故、別れるとなってからそんなことを聞くのか。
もう二度と出会うこともないだろうに。
私はこの無駄なやり取りのために、わざわざ声帯デバイスを起動し、音声を生成する。
「猫型アンドロイドだ。名前はまだ無い。」
「じゃあ名前付けてあげる。
んー……黒猫で偉そうだから……
――"クロニャンセンパイ"でどう?」
……こいつと旅をしたくない理由が二つに増えた。
呪文
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