小説『盛草 智菜実(43歳)』【ニャンノ世界】
『盛草 智菜実(43歳)』
ニャイチ県トヨランド市
市とはつくが、自然に囲まれた
山中で暮らしている。
彼女は
盛草智菜実 (43歳)
トヨランド記念病院の看護師
盛草智晴(11歳)の母で、
夫は盛草幸晴(45歳) トヨランド社員、朝が苦手な男達を起こし、
朝食を作る。
便利な世の中になっても、
人の心というものは、
特に男というものは
子供っぽいところがあるのは
世の常なのかもしれない。
「幸晴、おはよう」
「智菜実、おはよう…むにゃむにゃ」
むにゃむにゃ、漫画的かと
心の中でツッコミを入れつつ
スーパーちちぷいで買ってきた
パンを焼く、そして、牛乳を注ぎ、トーストにジャムを塗り、
テーブルに置く
起こしに行ってきてもいいのに…と夫の幸晴は言われなきゃ動かない融通の効かない部分に少し苛々しつつも、幸晴は仕事をちゃんとしていればいいわけで、家事を任せたら、洗い残しがあったりと、
機械に神経を使う反動で、家事には脳が回らないのだろうと思いつつ、智晴を起こす。
「むにゃむにゃ、母さん…おはよう」
むにゃむにゃの遺伝、まさに…
ここにありけりと、愛しいなと
思いつつ、我が子は可愛いのだと、胸が高鳴る智菜実は思うのであった。
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息子と夫を送り出したら、
しばし、一息つく、
喧騒の中で、
一人の時間というものは、
何ものにも替えがたい
ミニッツ的な楽園である。
もし、神様ってのが
いるとしたら、
一人になれる時間が欲しいと
盛草は思いつつ、
休日は中華料理が食べたいなと
ふと考え、脳内のお出かけセットリストに組み込むのである。
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朝の通勤、車を運転する。
日常なのだが、労働ゆえの日常
労働なしの日常と労働ゆえの日常
似ているようで異なる
2つの境界線が、
山を降りることで浮かんでくる。
ため息をつけば、
幸せが逃げていく
しなくてはならない…
看護師ゆえの義務と
向き合わなければ、
今日という日々を
生きているのだから!
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看護師として働いているのだが
些か色目的なものになってやしないか、内心では、不安だった。
正常なようでいて、いや、
正常というものは時代によっては
異常になりえるのだから…
といった言葉を浮かべつつ
この内容を見たら、だとか
深淵を覗けばモヤモヤだとか…
少なくともナース服には
改革の余地があるなと…
トヨランド記念病院の
制服を見直したいと思いつつ…
表向きは笑顔を向ける。
嘘を偽る心で向き合うのならば
見ない方がいいということもある。
心の健康の為に、心が雨に変わらぬためにも…大事なことである。
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健康管理も大事なもので、
不調を訴えていた方が
少しずつ元気を取り戻し
回復していく姿には
微笑ましいものがあった。
例えるなら、
ラジオ体操で、スタンプが
少しずつ増えていく感じだ。
満タンになったら、
達成感に脳が震える
すなわち、1日、2日と
継続して続けていくことで、
充足感に満たされていく…
勉学も、その調子で
続けていけば面白かったのかなと
智菜実は、脳裏に浮かべて
実感しつつ…カルテに記録するのだ。
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メビウスの輪に乗ってるなぁ~
と息子の智晴が好きな音楽をかけながら、帰宅する。
もちろん、帰宅する際には、麓のスーパーで買い物を済ませる。
牛乳とあんパンは、彼女にとっての御褒美であり、風呂上がりに楽しみにしている日課であり、ルーティンである。
音楽を聴きながら運転する時は
どこか神秘的な気分を感じつつ、
車を走らせた。
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家に近づく度に建物の光は少なくなり真っ暗な道となる。
トヨランド市は車社会であり、
車がないと不便であるのは、
面積が広いことも関連しているし、そして、何よりも…
終末事変以降、危険な怪異と遭遇しやすくなったことも関連している。
例をあげるならば、黎環時代に放送されていた本当にあったホラーな話が、日常レベルで遭遇するというもので、歩いていると、デカイカオに襲われて行方不明になったりと、ネコニャリ時代では、クマだけでなく、色んな怪異に注意しなくてはならない世の中になったわけである。
だからこそ、比較的安全な、才色協会やアミガルズが拠点としている都市に住む者が多いのも、安全面における点が大きい。
しかし、それでも、田舎に住むのには理由があって、田舎には大変なことはあるけども、自然がもたらす空気の美味しさや感覚が研ぎ澄まされていく、かつて、そこにあったであろう歴史を感じれるのがよいところなのかもしれない。
その分、大変なことはいっぱいあるのは確かだが…
田舎を楽園視しているならば、
楽園の差が大きいほど、
生物の巨大さに驚かされることが
いっぱいあってげんなりするのだから…
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風呂上がり、牛乳を飲んでくつろぐ、夫の幸晴は宿題を終えた智晴とゲームをしている。
テレビにはゲーム画面が映っていて、昔ならば楽しめただろうが、
安全運転が身にしみていると、
レースゲームが下手になっていくなぁと智菜実は思いつつ、
楽しそうな息子と夫の姿に
頑張ったかいがあるなと
思いつつ、明日への英気を養うのである。
「はい、時間終わり、ここからはお母さんの時間だからね~」
「うん、わかった~でも、ハニャドラ楽しみ、医師猫ニャジュン、今回は破門からどうなるんだろう」
智菜実の息子、智晴は好奇心旺盛な性格か、ハニャドラ(ハニャン(ネコニャリ時代の韓国)のドラマ)もワクワクしている。
特に医師猫ニャジュンは、セリフの言い回しや、登場人物を真似するくらいに好きで、記憶力がいいこともあいまって、一人ハニャンドラマをしたりと、本当にハマってるんだなと子供と一緒に見るのは、楽しいしほっこりするのだった。
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