時間遡行、開始ですわ
玉響チトセは『時間遡行』の異能を隠し持つ。
政府の一部のみに知られる機密レベルトップの能力だ。
「物事の解決なんて、数独みたいなものですわ」
今の世界線で得た情報を基に、巻き戻り正解の別の世界線を辿る。
チトセは事も無げに言う。
此度も政府要人の外遊先で巻き込まれた事件について概要を送付し、日程調整を促す予定だ。
命に関わる事件において、チトセは政府に対し異能を使用することを義務付けられている。
事件が起こったとしても、彼女は巻き戻り、それを無かったことに出来る。
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「……さて、届きましたわね」
時間遡行に飛び立つ元の世界線。玉響チトセは、スマホを取り出しメッセージアプリを開く。
そしてトーク欄の個人メモを眺める。メッセージが更新されていた。
飛び立った先の世界線は上手くやったようだ。
時間遡行とは「情報の遡行」である。チトセは自らの記憶以外の情報においても、遡行が可能であると気付いていた。
メッセージを介し異なる世界線の未来から、別の世界線の今へ。
政府にも明かしていない、異なる世界線間の送受信。それこそが玉響チトセの異能の真骨頂だ。
「流石わたくし、良いプランですわね♪」
チトセは別のチトセから受け取ったメモから、政府へ事件の首謀者の詳細な情報を流す。
ヒノイの国民は血の気が多い者が多い。自らを律している政府高官と言えど、反撃の正当性を得たらどうなるか……。首謀者の未来は悲劇一直線だろうが、自業自得だ。
後は向こうで勝手にやってくれるようだ。どうぞ存分に。
「こちらはこちらでやることがありますし……」
事件により打撃を受けた企業へのフォロー、首謀者との取引企業に対する根回し、共謀者の炙り出し、手数料がてら儲かる企て等々。
これらは玉響家の利になる範囲で行う。時間遡行による利益の享受は、政府依頼に対する報酬である。
「忙しくなりますわ~!」
別の世界線の正解から、この世界線の正解を導く。さながら数独のように。
玉響チトセが目指すのは完膚なきまでのベストエンド。それは、どの世界線のチトセに対してもそうなのだ。
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