火起こし
ザックを下ろし、軽く腰を下ろしてから、空を見上げた。
灰色の雲が、島の上空をゆっくりと流れている。今すぐに雨が降りそうな様子ではないけれど、風が少しずつ冷たくなってきた気がする。
「今のうちに…完全に陽が落ちちゃう前に火を起こしておかないと…」
マッチが数本あるだけの状況で、焚き火の失敗するのは避けたい。無駄遣いはできない。
リュックのポケットからマッチの入ったケースを取り出して、そっと数を確認する。——5本。
「一発で火がつく保証はないし、慎重にやらないと…」
「……失敗できないな」
拾い集めた枯れ葉や落ち草、小枝をそっと地面に広げ、小さな焚き火スペースを組み立てる。
枯れ葉をほぐして真ん中にまとめ、まわりを細い小枝で囲む「ティピー型」。※2枚目の画像の様な形※
見よう見まねながらも、なんとなく形にはなった。
【 ティピー型の特徴】
・薪を立てて組む:細くて乾いた薪を中心に、太い薪を囲むように斜めに立てかける。
・通気性が良く、燃えやすい:空気の流れが確保されていて、火が上に向かって燃え広がりやすい。
・火口(ひぐち)や小枝を真ん中に置くことで、最初の火付けが簡単。
メリット
・初心者でも扱いやすく、焚き火を始めるときに最適。
・徐々に薪が崩れていきながら燃えるので、火を維持しやすい。
デメリット
・ 長時間の維持が難しい。燃えていくうちにティピーの形が崩れ、薪が倒れて火が消えやすくなることがある。
・こまめに薪を追加・整える必要あり:形を保つには定期的に手を加える必要があり、ほったらかしにはできない。
・ 薪の長さに制限があり、短めの薪が必要のため適切な長さに加工する手間が発生します。
・ 強風に弱い。立てかける構造なので、風が吹くとバランスが崩れやすく、倒れて危険なことも。
・ 火力は強いが持続性が低い:一気に燃え上がる分、薪の消費が早くなりがちです。燃費よく長く火を保ちたいときにはやや不向き。
「こんな感じでいいかな。よし……行くよ」
マッチを1本取り出し、擦りつける。シュ…シュッ…シュッ! ——マッチの先に火がついた。
すぐに火口に当て、火が広がり始めた時を見計らって、息を吹きかける
ふっ……パチッ。
火は、あっけなく消えた。
「……うそ…?」
ダメだった。
火口も少し焦げただけで、燃え広がらなかった。
焦りが喉の奥からじわっとこみ上げてくる。
「もう一回。原因は……火口への火の乗りが甘かった?吹きかける息も強すぎた…?」
一度深呼吸してから、火口を少しほぐし直し、中心をややへこませて火が溜まりやすいように整える。
そして——もう一度、指南書に書かれた火起こしの基本を思い出す。
【サバイバル火起こしの基礎知識】
1. 火起こしは「段階」が大事
いきなり薪に火をつけるのは難しい。
小さな火口(ほくち)→付け木→焚き付け→薪の順に「段階的に火を育てる」ことが重要。
【焚き火の基本構造】
・一番下:火口(ほくち)となる、(落ち葉や細い繊維など)
(火口の量が少ないと着火の失敗に繋がるので、手元にあれば多めに使うと良い)
・中段:付け木(マッチの火を受けやすい小枝)
(乾いている小枝が最適 火が付きやすく、しっかり燃えてくれる素材(松、杉などの樹脂のある木は◎))
・上段:焚き付け(鉛筆ほどの枝)→その後に薪をくべていく。
薪がしばらく燃え、熾火(おきび)という薪や炭が赤くなっている状態までしっかりと火の管理をする。
着火したばかりの火は強い風・薪や燃料不足ですぐに消えてしまうので注意が必要。
【火起こしの成功率を上げるコツ】
・地面が濡れていたり湿っている場所は避ける。
・使用する火口や焚き付けや薪などの燃料は可能な限り乾いた物を使う。
「風の向きは…あっちからか。地面も少し湿ってるから火口が直接触れない様に樹皮を敷いて…」
「火口もさっきより沢山使おう…」
「小枝ももっと乾いた物じゃないと…これはまだ少し湿ってる……気がする…。一応こっちのに変えて…」
次は失敗しない様、出来る限りの改善を行った。
マッチを取り出し、祈るような気持ちで擦る。
「お願い…」
シュ…シュッ、シュッ——。
マッチに火が灯る。すぐに火口の落ち葉に向けて運び、火口が徐々に燃え広がるのを慎重に待ち、
ふう、ふう、と慎重に。火は一度、かすかに消えかけたように見えたが、すぐに細い枝へと移り、小さな炎が生まれた。
「やった…!」
思わず、声が漏れる。ほんの少しの炎でも、この状況では心強い味方になる。
火がついたことで、辺りの空気も少し温かく感じられた。
【焚き火の注意点】
・風に注意(火の粉が舞う危険性。火傷や、持ち物への引火、小さな火の粉が大きな山火事になる事だってある。)
・状況にもよるが、できるだけ地面を掘り、風の影響を減らす
・火の周囲には、燃えやすいものを置かない
指南書を読みながら、産まれた炎が消えぬよう徐々に慎重に薪をくべ、炎を安定させていく。
「ティピー型はすぐに薪が燃えてなくなっちゃうみたいだから…こうして…」
薪に完全に火が付き炎が安定したのを見計らい、薪を横に広げる様に起き、長時間炎が維持できるように形を変える※3枚目の画像の様な形※
【 スターファイヤー型の特徴】
・中心に焚き口(火種)を置き、その周囲に放射状に薪を配置します。
・見た目は「星のような形」や「車のスポーク」みたいな感じ。
・薪の先端だけを火にかけておき、必要に応じて少しずつ押し込んでいく。
メリット
・ 長時間燃える 薪を少しずつ燃やすので燃費が良く、火持ちが良い。
・ 調理向き 炎がコンパクトで安定しやすく、鍋などを乗せやすい。
・ 管理が楽 薪の補充は薪をちょっと押し込むだけなので楽チン。
・ 風に強い 低く広がる形なので、強風の中でも倒れにくい。
デメリット
・ 着火がやや難しい ティピー型のように一気に燃え広がらない。火起こしには工夫が必要。
・ 薪の長さに注意 放射状に並べるのである程度の長さと太さが必要。短すぎる薪だと不便。
どんな時に使うのが良い?
・一晩中、火を絶やしたくないとき。
・調理や保温がメインのとき。
・燃料を節約したいとき(少量で長持ち)。
「火も消えそうな雰囲気もないし、こんな感じでいいかな?」
火の明かりが揺れる中で、少しだけホッとした表情になる。
それでも油断はできない。明日は天気が崩れるかもしれないし、次に火を起こす時には、もうマッチがないかもしれない。
「今のうちに、次の火種の準備や薪も乾かしておかないと…」
木の枝や集めた薪を焚火の傍で乾かしながら、木の皮を裂いたものや、乾いた枯草を少し多めにリュックへしまい込む。
樹木に背を預け、サバイバル指南書を読みながら疲れた身体を少しの間休めた。
「ふぅ…。一安心したけど、まだだ…。まだ今日のうちにやらなきゃいけない事がたくさんある…」
指南書をぱたりと閉じ、再び立ち上がる。
※前回から、驚異の3カ月放置!!!
もはや、誰も覚えていないと思いますがコソコソと更新させていきます(´ω`)
なんやこのキャプションの長さは…最後まで読む人居ないだろうなぁ~(笑)
火起こしは奥が深すぎるのと情報量が膨大でしたので、これでも簡単にまとめたつもりでした🤣
呪文
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