不思議の森
キノコが光り、時計が逆回転する小径の先に――彼女はいた。
白銀の髪を二つに結い、小さな王冠と青のドレスを身に纏った彼女。
その背に揺れるのは、絹のように滑らかな尻尾――
まるで道案内でもするように、くい、とこちらを誘う。
「ねぇ、ボクについてくる? それとも――迷子になる?」
小悪魔のような微笑を浮かべながら、彼女はゆっくりと腰を下ろす。
その動き一つで、ひらりと舞うレース。
カードの兵士たちも足を止め、世界が一瞬、息を呑んだ。
懐中時計が示すのは、常に“間違った”時刻。
あの尻尾がくるりと一周するたびに、空の色が一段、深くなる。
彼女の周囲だけが、物語よりも甘く、夢よりも歪んでいた。
「……ほら、そんなとこに突っ立ってたら、喰べちゃうよ?」
それが冗談なのか本気なのか、誰もわからない。
けれど気づけば、あなたの手は――
彼女の尾の根元に触れようとしていた。
そして世界は、不思議の国の底へ、優しく、堕ちていく。
呪文
- Steps 30
- Scale 7
- Seed 1185476639
- Sampler DPM++ 2M Karras
- Strength 0
- Noise 1
- Steps 30
- Scale 7
- Seed 1185476639
- Sampler DPM++ 2M Karras
- Strength 0
- Noise 1