花嫁は死神
まさかウェディングドレスが用意されてるなんて思うはずなかった。
「いつか柚羽さんに着てもらえるように、って決意表明のつもりです」
こいつはほんとにバカだ。お馬鹿すぎる。SNSで個撮バイト募集してるような、わたしみたいな軽い女に愚直なまでに本気で告っちゃってる。バカじゃないの!
でも、そこまでまっすぐなとこが本気だって証左だった。なによりもこころがときめている。こんなどっきりみたいなやりかたで? いろいろな感情が頭のなかをよぎるけれど、手向けられた想いにうそで報いることだけはできない。
「……似合ってる?」
「とてもきれいですよ!」
平然と写真を撮りはじめるあたり、本気なんだかわからなくなってくる。
ずっとわたしはどきどきしっぱなしなのに!
「――決意してる、ってことだよね」
聞こえないような小言でつぶやいていた。
わたしだけを見て、
わたしだけを愛して、
わたしだけに狂ってくれる、
そういうひとに、なってもらうから。
あなたの愛した花嫁は死神、なんてね。
呪文
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