小説『麻袋土偶奉納祭』【ニャンノ世界】
『麻袋土偶奉納祭』
まず、この物語に至る前に
この地に伝わる歌がある。
「あさどぐうてんかいらい」
民謡(SunoAI)
https://suno.com/s/dIVgwjYz87qrz6L8
あさどぐうさま、あさどぐうさま
ようこそ、おこしになりました
めぐみたまえ、めぐみたまえ
ききんからまもりたまえ
あさどぐうさま、あさどぐうさま
おどりをおどり、うたうたう
おどりませう、おどりませう
こよいはおまつりおどりませう
あさどぐうさま、あさどぐうさま
そらがかわいてのどかわく
ふらせませう、ふらせませう
くもんのなかでかんしゃのむ
あさどぐうさま、あさどぐうさま
とこよのやみからまもりたまえ
ひかりあれ、ひかりあれ
そらがあけたらえがおあらんや
あさどぐうさま、あさどぐうさま
おまつりむかえて、とびたたん
そらかける、そらかける
ほほえみたまいて、めぐみのあさ
ありがとうといっては
おどりゃんせ
またのおこしに
あさぶくろでおむかえだ
ゆめいっぱいのあさどぐう
くのうのはれがやってきた
あしたもがんばる
あさぶくろ、あさどぐう
ー物語ー
モリノアオ県 オカメノウカ市の山奥に麻袋村がある。
秘境の地で、樹海のごとき
神秘あるいは畏怖を感じさせる
木々の奥にて、麻袋土偶伝説が基となった麻袋土偶奉納祭が
行われている。
一般の方の参加は不可で、
麻袋土偶から認められた者のみが
麻袋村への立ち入りを許される。
かつて、この村には祖先の代に黒き厄災(黒色生体細胞説が有力であるとされている)に見舞われた時に、一人の勇気ある若者 〈タノウエヤマノアガサビト〉が麻袋土偶と苦悶式土偶を制作し、宙より来る白い光(白色生体細胞説が有力であるとされている)が、土偶の中に入りて麻袋土偶と苦悶式土偶が合体し翼が生えて巨大化し、麻袋村を護ったとされる。
また、エドニャラ時代の飢饉の時には、周囲が飢饉にて争いが絶えぬ時、天使の翼を生えた麻袋土偶が宙より来たりて麻袋の中に米や野菜、種などが入っており、飢えを凌ぐことができたという言い伝えがあるなど、麻袋村には、白色生体細胞と密接に関わっているのだそうで、麻袋村の人達の瞳の色は白い瞳孔で、さながら天使の印が見えるのだそうだ。
つまり、天使=白色生体細胞であり、悪魔=黒色生体細胞という構図が構築することができ、
当時のエドニャラ時代における
ガルツ藩の文献を見るに
大飢饉が発生した際、麻袋村の周囲では食べ物を巡る一揆や打壊しが起こったのに対して、摩訶不思議なまでに、麻袋村では戦争の類いは発生せず、黒い霧なるものも見えなかったとも記載されていた。
つまり、麻袋村では、麻袋土偶が信仰される背景には、麻袋村の成り立ちが、白色生体細胞を基にして、今日、ネコニャリ時代(2200年代~)まで発展してきたこと、
そして、終末アポカリプス(2200年代前半~)や終末事変(2100年代~)
にかけて起こったノイズ的な歪みすらも麻袋村では麻袋土偶の加護により、平穏な暮らしを成せたことを考えると、
外部の者に対して、厳しい対応を取る背景には、黒色生体細胞が使わした者を入れないためなのだそうだ。
だからこそ、厳格なまでに麻袋村の者達は祈りを欠かすことなく、
また、しめ縄の乱れは厄災の訪れとして、書籍『苦悶式創作に関して』(猫歴書房)で、図解入りで語られていたのは記憶に新しい。
だからこそ、今回の麻袋村への
フィールドワークを通じて得られた『麻袋土偶奉納祭』および
「あさどぐうてんかいらい」
は重要な意味を持ち、生体細胞が人類との関わりを示す生きた歴史書と言えよう。
では、『麻袋土偶奉納祭』とは、一体、どのようなお祭りなのか、
映像を見ながら考察を深めていこう。
『麻袋土偶奉納祭』は日の入りと共に始まる。これは、光の象徴である白色生体細胞が降臨せんとする時間であり、日の入りは、麻袋土偶への挨拶でもあった。
だからこそ、まずは飯を食べることから始まり、白飯と塩、大根の漬物、白味噌汁を食す。
ここに他の食べ物を入れることはなく、飲み物は日本酒あるいはお水、白湯でいただく。
共通するのは白であることで、このことからも、白色生体細胞がいかに聖なる存在なのかが分かることだろう。
飯を食べたら村人挙げて、
麻袋土偶の周囲で歌い踊る
日頃の感謝の思いを踊りや歌で宙にて見つめる白色生体細胞の祖と繋がる感覚を脳裏より伝わるらしい、そして、踊れば踊るほどに、一体となって、苦悶に満ちていた麻袋土偶も心なしか、表情が変わり、穏やかになっていく…
踊りや歌でもてなすことで、
麻袋土偶も頑張ろうという気持ちになれるのは、神的存在なれど、心のどこかでは通ずるものがあるとして、惹かれるものがあると感じたものだ。
踊りもてなし、心が踊る
辺り一帯に翼の鱗片が舞い降りる
そう、麻袋土偶が宙へと登る時が来たる。
地表にて務めを果たした麻袋土偶は宙へと登り、光の粒子へと変化し世界を見守る存在へと進化する。そして、小さな麻袋土偶が
麻袋お姉さんの歌と麻袋村の方々の舞いで、地上へときたりて、
新たな麻袋土偶が麻袋村に繁栄と恵みを与え、厄災から護らんと、
この地に根付くのであった。
私、月見佐之助は生体細胞研究者としてこれからも未知の領域に関しての取材を続け人類および、ニャンノ世界とは何かを生体細胞から見つめ続けるのだ。
願わくば、これからの若き生体細胞学を志す者の道へとなれれば幸いである。
著 月見佐之助
(帝都大学 生体細胞学 教授)
猫歴書房
2225年9月10日初版
(猫メモ)
本作は
chiffoneさんの『麻袋土偶』
https://www.chichi-pui.com/posts/74e461c1-8bb6-435c-80ed-fc0c0ee47468/
および、
『苦悶式土偶』
https://www.chichi-pui.com/posts/25927da1-b661-40d2-9a56-3bd4a4fc768c/
から受けたインスピレーションを
元に制作した作品で、
朝の始まりと共に飯を食らい
昼~夜にかけて踊りをし
夜は巫女である麻袋お姉さん
が「あさどぐうてんかいらい」
を歌い、舞い踊ることで
天界との交信引いては宙から来る
存在から恵みを授かったのではないかとなって想像が膨らみました。また、青森県の遮光機土偶を意識した物語で展開しており、
苦悶の果てに光を放ち、翼が顕現化したのは、苦悶式土偶や麻袋土偶は天使を象り、繁栄に貢献したことで生まれたものなんじゃないかと想像が膨らんだりと胸が高鳴ったものです。
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