キンタマまみれの少女
気がつくと、金玉にまみれていた。
「……え?」
少女は、状況を理解できずに瞬きを繰り返す。
見渡す限り、どこまでも広がる金色の玉。
まるで光をまとった海のように、ゆっくりと波打っていた。
「ここ……どこ?」
確かにさっきまで、自分の部屋にいたはずなのに。
気がつくと、この金玉の海に沈み、ゆっくりと浮かんでいた。
ボールを手に取ると、ひんやりとしていて、手の中でころころと転がる。
触れるたび、かすかに鈴のような音が響いた。
チーン……チーン……
「……なんか、夢みたい。」
そう呟いた瞬間、金玉の海がふわりと揺れる。
ゆっくりと沈んでいく金玉の波の向こうに、誰かが立っていた。
「……あなたは?」
声をかけても、相手は何も言わない。
ただ、金玉をそっと拾い上げ、優しく微笑んだ。
次の瞬間――
ふわりと体が浮いた。
「あ……」
光に包まれ、視界が白く染まる。
気がつくと、彼女は自分の部屋のベッドの上にいた。
「……夢?」
けれど、手のひらには、冷たい金玉がひとつ。
そして、どこかで響く鈴の音が、まだ耳に残っていた。
チーン……チーン……
呪文
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