ウェスティリア国史LⅧ remake
デキストラエ•マヌエス•レギウス•インレックスは宮廷の執務室に孫を呼びつけた。
呼びつけられた孫は不満顔で椅子に座り不満をぶつける
「領地経営で忙しいのに呼びつけるな」
その不遜の態度を無視してデキストラは告げる
「今日から領地経営は貴様の弟に任せるがいい……これは提案では無い命令だ」
その言葉に彼は怒りを滲ませ答える
「身内にも容赦無しか……糞爺」
デキストラは彼の怒りもどこ吹く風で話を続ける
「何故なら儂は宰相を引退し孫の貴様に譲るからだ……この話は陛下も了承済みでの?逃げられんでの?怒りを向けられてもの?イライラされてもの?困るのよ」
彼は宰相職の譲位話に驚愕するも
「マヌエス家は人材も豊富な上に後継者の伯父殿も叔父殿も健在、従兄妹殿も健在……何故ティパニウス家の俺に譲る?」
「儂の息子や孫達では駄目だな……優秀ではある、領地経営も卒なくこなす、じゃが優しすぎる。優しさだけではサラトバ大陸の政の中枢で生きられない、魑魅魍魎が跋扈する宮廷内で謀も出来ぬ純粋ではの?……その点、貴様は領国に逆らうもの、もしくは領主に対して危険であると判断したら親族、部下、領民をそして教会関係者も例外なく潰せるじゃろ?
宰相は王国に従順な貴族に対しても策を講じて財政を圧迫し王国に反抗する力を蓄えさず、些細な問題を見つけて領地没収に処す……生かさず殺さず逆らえば潰す事が出来なければならん。あやつらには無理じゃ、だが貴様なら出来る。だから譲る」
これを聞いた彼は宰相職の譲位を受け入れた。
ここに新宰相「アウルス•スプトリウス•ティパニウス•インレックス」が誕生した。
新宰相誕生を見届けたデキストラエは心の中で「あやつが居ない宮廷は楽しくないしな」と呟いた
呪文
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