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羞恥のテレビ中継~ラミア編③ファンと全裸握手

使用したAI UL生成機能
ラミアがやって来ると、何人かがその姿に気づいた。

「あれ……ラミアちゃん!?」

「うそっ、マジで!?」

 集団の中から驚きの声が上がる。

 彼らが見たものは、全裸の少女。しかもそれは、お目当ての少女タレントの魚住ラミアではないか。

 誰もが信じられない顔で見つめる中で、ラミアはファンの前にその姿を現した。

「みなさん、こんにちはー」 

 ラミアが大きな声で挨拶をしても、どよめきは収まらない。驚きのあまり目をこする者、ぽかんと口を開いている者、意味不明な叫びを上げる者と、さまざまだ。

 集まっている男たちの中にはラミアの顔見知りも何人かいる。

 握手をしたりサインをしたり、そういったファンとの交流は大事にしてきたラミアだが、当然ながら全裸を披露するのは初めてだ。恥ずかしいという言葉では言い表せない感情が、幼い少女の心の中に渦巻いている。

「み……みんな、今日はわざわざラミアのために来てくれてありがとー」

 口ごもりそうになるのを抑えつけ、集団に向かって元気よく声を送る。

 ここにきてようやく、軽いパニックを起こしていたファンの間にも、冷静さを取り戻す空気が広がりはじめた。

 彼らは我を取り戻すと、思い出したように一斉にカメラを取り出しはじめた。

 そんな男たちの視線を浴びながら、ラミアは言葉をつづける。

「せっかくたくさんの人が集まってくれたんだから、みんなに一言でも挨拶をしておこうと思って、本番前にここまで来ちゃいました。こんな格好でごめんなさーい」 

 明るいラミアの声に、集団から一斉に拍手と大歓声が湧き起こった。

 それから時間が許す限り、一人ひとりとの握手会がはじまった。

「頑張ってください」

「応援してます」

 声をかけられるたびに、ラミアはしっかりと両手で手を包み込みながら「ありがとうございます」と頭を下げる。

 だがその姿は、男たちが服を着ているのに少女だけがすっ裸という、傍目には奇妙としか言いようのないものだった。

 その様子をカメラマンはしっかりと撮影し、母親もスタッフといっしょにうなずきながら見守っている。ファンを大事にするところをカメラの前でアピールするだけでなく、視聴者に与える映像のインパクトも相当なものだろう。 

「しゃ、写真も撮っていいですか」

「あ、いいですよ。どんどん撮っちゃってくださーい」

 ラミアの返事を待ち構えていたように、握手会の次は撮影会がはじまった。 

 男たちの手に持たれているカメラは、周囲を取り囲むようにラミアに向けられている。中には温泉内を盗撮しようと考えていたのか、超望遠レンズの高級カメラを抱えている者もいた。

 さまざまな種類のレンズによって、全身のありとあらゆる場所が撮影される。

 十一歳の華奢な体を飾る発達途中の乳房や、プリッとしたかわいらしいお尻。すべてが隠すことなく公開され、オールヌードの撮影会がこれまたテレビカメラの前で行われている。

 特に誰もが撮りたがっていたのは、正面真下の位置からのアングルだ。

 ラミアの真正面に男たちは密集し、他人を押しのけながらカメラで狙っているのは、下腹部にある一点だった。

 撮影されるワレメ、ワレメ、ワレメ。

 ありとあらゆる角度、距離から、ほんの小さな縦の切れ込みがレンズに収められ、記録されてゆく。

 男たちの情熱はすさまじく、ずっと追いかけてきた少女の裸体を前にして、我を忘れてシャッターを押しつづけている。自分たちの姿もテレビカメラに収められていることなどお構いなしとばかりだ。

「やだぁ、みんなヘンなところばかり撮ってるぅ。エッチなんだからぁ」

 もはやラミアの媚びた甘い声など届いてはおらず、異様な空気さえその一帯に漂いはじめていた。

 それでもラミアは体を隠すことはせず、まっすぐに立ったまま堂々とポーズをきめている。

 いまは恥ずかしいという感情はとっくに通り過ぎ、この場から逃げ出したいのを必死にこらえている状況だ。

「すいません、これからラミアちゃんは温泉リポートの現場に向かうので離れてくださーい」

 撮影風景を黙って見守っていたスタッフも、これ以上は好きにさせておくとまずいと思ったのか、ラミアの周囲を取り囲んだ男たちを排除しはじめた。

「すごい熱狂的なファンでしたね」

「みんな私のことを応援してくれる、すごくいい人たちなんですよー。みんなと握手できて、私もパワーをもらっちゃいました」

「いやー、よかったですよ。さっきの場面はテロップで『ラミアちゃん、ファンに向かって裸を大サービス中』とでも出しておきましょう」

 ラミアの気も知らず、母親とスタッフたちは呑気に会話を交わしている。

 温泉リポートの本番前だというのに、すでにラミアは耐え切れないほどの羞恥を味わった。裸だというのに、肌寒さを感じる余裕もないくらいだ。

 本番ではおそらくこれ以上の恥ずかしい出来事が待っている。それなのに逃げることも泣くこともできず、笑って生中継のカメラの前に出なければならない。

 刻々と時間が迫る中で、ラミアは一人で覚悟を決めなければならなかった。


(続く)

https://novel18.syosetu.com/n6840bx/50/

↑より引用(一部改変)

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