236 糸目の子と文化祭とメイド服
ある意味で僕は一歩下がった視点でありながらも黙々と準備を進める。
「ーーそこの飾り付けちょっとズレてね?」
横から僕の友人が指摘する。
ハッとして慌てて修正する手が微かに心落ち着かないように揺れていた。
悪い悪い、と指摘した友人に礼を言うと、彼はニカッと笑った。
「ーーまぁ、そうなるのも分かるってもんだがな」
と彼は飾り付けが着々と進む教室を見渡す。
今は男子生徒しかいない教室は、天井の飾り付け、或いは力仕事で賑わっている。
これも男女平等だ、できる人がやるのは当然。
しかし、男子生徒どもは少し落ち着かない様子……まぁ、僕を含めても当然だと思う。
何故か?
「どーよ!男子ども!」
勢いよく開け放たられたドアの方を見ると、クラス一のやかまし娘が立っていた、メイド服着用で。
その後ろからうちのクラスの女子達がおずおず入ってきた。
明日のための最終的な衣装合わせをしていて、そのチェックを終えてメイド服のまま帰ってきたのだ。
「ーー眼福だな」
誰に言ったわけでもなくポツリと呟く友人に、ため息のように同意する。
行こうぜ、と彼に誘われメイド達に寄る。
既に作業そっちのけで笑い合ってたわけで、作業をサボる罪悪感は薄れていた。
彼が一番仲の良い女の子に軽々しく話しかける。
「馬子にも衣装ってのはこの事だな、ちーー」
「ちぇい!」
名を呼ぼうとした瞬間にその子は彼に鋭いボディブロー、彼はあえなく轟沈。
多分しばらくは身動き取れないだろう。
ピクピク動く彼をフンと見下す彼女を見て思う。
「ーー相変わらず仲良いね、あの二人」
と、横からの声……糸目のあの子だ。
僕は彼女に振り向きながら肯定するが、すぐに目を逸らす。
制服とも私服とも違う格好に、妙に照れてしまって。
「それで、どう、かな?」
「どう…って?」
フリルがふわりと舞う。
釘付けにされそうだ。
様々な言葉が頭の中ぐるぐる回って、言葉が出ない。
「そうやって誤魔化しますか」
高鳴りに気付かれただろうか?
しかし、彼女は、まぁいいでしょう、とくるりとターンして笑いかける。
「君には後でじっくりと聞かせてもらうね?」
僕の鼓動は更にドキリと高鳴った。
呪文
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