水着コンテストの裏側で
家族親族内でそんなことやってどうすんだ?と思っていた赤髪兄こと赤上小織は、まさかの自分が出場する事態に困惑を通り越して混乱していた。
小織「な、なんで俺がそんなモノに出場しなきゃならないのさ!」
黒間久摩耶(黒幕ちゃん)「別にいいじゃない。公式なコンテストじゃなくってあくまで身内でやってるお遊びなんだから」
院馬咲由(摩耶のメイド)「その通りでございます小織さま。何でしたら小織さまの水着にわたくしの様な尻尾を付けて差し上げましょうか?」
小織「いらないよ!?ってか、咲由さん角とか羽根とか尻尾とか出てるけど大丈夫なの!?」
咲由「ご安心ください。どうせこれは普通の人間には見えていませんので」
小織「あ、そうだったっけ……」
ガクッときて一気に疲れる小織。
摩耶「とにかく、小鈴ちゃんが言い出したんだからあんたもお兄ちゃんらしくしっかり場を盛り上げなさい」
小織「だからって………………な、なんで……男の俺がよりによって………その……女の子の水着なんて………」
摩耶「良いじゃない。こういう機会でもないと男のあんたが女子の水着なんて一生着れないわよ?」
小織「着なくていいよ!」
深々とため息を吐く小織。しかし実はすでにその『女の子の水着』を半ば強引に着せられてしまっていた。
どうやって着せたかと言うと………摩耶の魔法で一発だった。
しかもそれまでジェンダーレス水着を着ていた小織がいきなりビキニ姿になったので小織たち以外の他の海水浴客達が小織の方をジロジロと見ていた。
小織「そもそもこんなつまらないモブ顔の陰キャ男子に女子の水着を着せて何が面白いんだよ……」
ぶつくさ言う小織。そんな小織の視線の先では……妹の小鈴が祖父伊織や父天馬、伯父である黒間久真にポーズを決めたり愛想を振りまいていた。
小織「小鈴は楽しそうだな………」
確かにこんなに楽しそうな妹に水を差すのは気が引ける。
小織は深々とため息を吐いて諦めることにした。
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それから、小鈴のパフォーマンスが終わり、摩耶、咲由がそれとなくアピールし、最後に小織が恥ずかしそうに顔だけ出してすぐに下がった。
だが、そもそも小織の水着は摩耶によってビキニに変えられてしまったので、そのまま小織は家族から離れ、岩場の陰に隠れるようにひっそりと座っていた。
その時……。
男1「へいか~のじょ!今一人?」
小織「ふえ?」
いきなり声をかけられ驚く小織。今の言い方は完全に女の子をナンパする時の声のかけ方だ。
小織(あ‥…もしかして俺がビキニなんて着てるから……女の子と間違えてるのか?)
ちょっとショックを受ける小織。
いくらビキニを着ているからってまさか女の子と間違えられるとは思っても見なかったのだ。
まあ………本人がそう思っていたところで、実際には小織を見て男だと思う人はまずいないのだが……。
男2「なぁに?もしかしてシカトしちゃってる感じ?」
男3「そういうの良くないぜ?俺達だって傷ついちまうもん」
小織「え、あ……あの……すいません……」
とりあえず反射的に謝っておく小織。そしてため息とともに顔を上げた。
小織「すいません、誤解させちゃって申し訳ないんですけど………その…俺、見ての通り男なんで……ちょっと家族で悪ふざけをしててこんな格好をさせられちゃっただけなんで……」
男1「は?え?何言ってんのコイツ?」
男2「分かんねえけど………もしかして俺ら馬鹿にされてる?」
男達の言葉に焦る小織。
小織「い、いえ……バカにするとかじゃなくって……ほら、俺こんな顔ですよ?こんなつまらないモブ顔の陰キャ男子なんですから……ナンパするならもっと可愛い娘を探した方が……」
男3「え?なに?モブ顔の陰キャ男子?」
男2「マジで何言ってんだコイツ?」
小織「いえ、ですから……」
男1「オメー………舐めてんのかオイ!」
ガッ!
男1が岩を叩く。小織は小さく「ヒッ!」と悲鳴を上げて身を固くした。
一方をそれを見た男達はニヤリと嫌らしい笑みを浮かべる。
男3「まあまあ、そんなにビビらなくていいんだよ」
男2「そうそう、ただ俺達は君と仲良くして……そのままちょっと気持ちよくなりたいだけなんだからさ!」
そう言って小織の肩に触れてくる男達。
小織「や、やめて……ください……」
完全に怯えて萎縮してしまった小織。ポロポロと涙を流しながら身を守るように自分の身体を抱きしめる。
男1「いいね、誘ってんじゃねえの?」
そう言って男1が小織の肩に手を回した……………………その時。
男の手を何者かが掴んだ。そしてそのまま捻り上げる。
男1「がっ!い、いででででででででで!……は、離しやがれ!」
???「残念だけど、うちのお姫様を………あ~……王子様?を離す方が先だね」
男1「な、何言ってやがる……!」
???「別に構わないけど……このままだとキミ、腕の骨折れるよ?」
男1「わ、分かった!……コ、コイツのことは諦めるよ!それで良いんだろ!?」
???「そうそう」
そして、男達は急いでその場から逃げて行った。
小織「……………?」
男達が逃げたので、恐る恐る顔を上げると………そこには小織の顔を覗き込んでいる父、赤上天馬の姿があった。
小織「………と、父さん……」
天馬「どうしたお姫様?」
小織「!………やっぱ親父なんかキライ!」
ガズッ!
天馬「いってぇ!」
小織「ふん!親父のバーカ!」
天馬「おいコラちょっと待て。仮にも父親に向かってバカとは何だバカとは」
小織「………………」
天馬「どうしたんだよ?黙り込んじゃって」
小織「…………その……」
天馬「ん?」
小織「……助けてくれて………………ありがと……」
天馬「よしよし、良く出来ました!」
そのまま小織の頭をクシャクシャに撫でる天馬。当然小織はメッチャ嫌がっている。
小織「やめろよ!やっぱ親父なんかキライだ!」
天馬「そう言うなよ愛しい息子よ!何ならお姫様抱っこしちゃってもいいんだぜ!」
そう言って小織を強引に抱き上げ、お姫様抱っこしてしまう天馬。
小織「うわ!…………や、やめろぉぉぉぉぉ!」
天馬に抱っこされたまま帰った小織。
みんなの所に戻ったら、お暇様抱っこされている兄に感激した小鈴によってメチャクチャ写真を撮られまくった小織くんだった。
呪文
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