はい。「電子の探偵」さん。キミが探していたものだ。これで借りは返したからね。あと……
「はい。『電子の探偵』さん。キミが探していたものだ。これで借りは返したからね」
夏休みの最中に友人に呼び出された少女の前に現れたのはクラス担任。
その彼から差し出された手紙をきょとんとした表情で受け取る。
封を切る。中にはQRコードが書かれた紙が1枚だけ。
表情が一転する。
怒りと屈辱に染まった愛らしい表情をちらと眺めて、彼……超AIの代理人……は苦笑する。
「電子空間になんでもあるとは思わないことだ。まぁいいところまではたどり着いたみたいだけれど」
「なぜ、なぜあなたたちが」
「ちょっと色々あって。キミのお陰でこっちのエージェントが脱出に成功したとか、奴らの口座をロックできたというのもあるけど……」彼は苦笑した。「でもね、最大の理由は『友達のために見返りなく動いたキミの行動原理そのもの』なんだとおもう。我々は実はちょっとばかり涙もろいんだ……とくに彼……【冬寂】……は」
対立していた存在から直接の接触に少女は混乱し、そして理解する。
「先生が……エージェント」
「うん。正体が露見しちゃったので後期にはもう、私はここにはいられないんだ。だからそのまえに」
その声は表情は少女の担任としてのそれだった。
「【冬寂】からの伝言」男は微笑んだ。「君は自分が正しいと思うことをやるべきだ。その正義感が幼いとか、感傷にまみれたものだとかいうオトナがでてきても、その感情には、願いには……価値がある。
……途方もない宝物なのだよ。それは。
なぜならそれは我々が持ち得ないものだから。探し続けているものだから」
二人はしばらく見つめ合う。
少女はおぼろげながら彼らの、この「怪盗団」の行動原理を理解する。
「…あなたたちは欠けたものを探し続けているのね」
「……そう言うことになるんだろうね。名推理だ」男は微笑んだ。
「じゃあね。探偵君」少女の元担任は背を向けた。
「ええ、さようなら。怪盗さん」くすりと少女は笑った。
「ああそれから一言だけ私からの忠告」男は微笑する。「ちょっとアバターは盛り過ぎだと思う。どことは言わないけどね。先生は紳士だから」
「さ、最後に言うのがそれなんですか!」
唖然とする女子中学生を残し、「怪盗」はその姿を消した。
二人が再び出会うのは、それから10年後のことだった。
呪文
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イラストの呪文(プロンプト)
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- Steps 25
- Scale 7
- Seed 324595647
- Sampler DPM++ 2M Karras
- Strength 0
- Noise 1
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