魔法検閲・屁9 終章 そして伝説へ
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終章 香る者たち……そして伝説へ
放課後の教室。
夕陽が差し込み、カーテンがやわらかく揺れていた。
双子の姉妹が机を片づけながら笑い合う。
「ねえ知ってる? おばあちゃんが昔話してた“屁死鳥(屁ニックス)”のこと。」
「おならで世界を救った鳥でしょ? 嘘くさ〜」
「嘘くさ、じゃなくて、おなら臭いのよ」
「いいよ、上手いこと言わなくて」
「でもね、そのときの人たちの子孫が、今もこの街にいるんだって。
隣のクラスの黒髪の子とか、お団子の子とか、目が隠れてる子とかも」
「うわ、親戚多っ!」
「そりゃそうよ。勇者様、戦いはサボってたくせに、夜の冒険だけは熱心だったんだって」
「最低〜!でも……なんか、ちょっと羨ましいね」
「おばあちゃんの言うことがマジなら、アタシたちにも勇者の血、流れてるんだよ」
「え、マジで? ……なんかヤダ〜」
「うらやましいって言ってたじゃん」
ふたりは顔を見合わせ、くすくす笑った。
風がカーテンをめくり、
一瞬だけ金色の光が差す。
そのときだった。
「──あっ、ごめん、出る」
プッ。
柔らかな香りが、世界を包んでゆく。
ふたりは顔を見合わせ、また笑った。
——この、何気ない日常が、ずっと続きますように。
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呪文
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