「あぶなかったぁ」
自分の能力が操り糸であったことに感謝した。
敵国の潜入でトラブルがあり、一緒にいたはずの仲間達とはぐれてしまった。
潜入には成功したものの、徘徊していたロボットに見つかってしまった。
「いがいと、きみはたんじゅんなんだねえ」
大人しくなった巨大なロボットを見上げる。
自分の能力、操り糸は触れたものを思い通りにする能力。
聞こえは良いが、人間は複雑で自分の命令なんて通ったことがない。
だから、動物くらいしか操れない。その動物も個体差があり、知能が高ければ操れなかった。
このロボットに触れたときに、大人しくしてほしい、自分のことを見逃してくれと命令すれば、どこかに行こうとしたので、待ってほしいと呼び止めたのだ。
「ねえ、えーっと、じょーほーがあるところ? にあんないしてくれるかな」
ロボットは何度か目を光らせた。
「それっておーけーってこと? じゃあ、よろしくね!」
落ちこぼれと言われた自分でも、敵国の情報を持って帰れば、皆も認めてくれるだろう。
呪文
入力なし