まだ雪の残る田舎町に咲く桜
いつものようにゲームで徹夜をした朝、俺はカップラーメンでも買おうと寝ぼけ眼でコンビニまで向かう。
すると、唐突に「おはようございます」と声をかけられた。
凜としているが優しい声色の女の子だった。
ここ数ヶ月まともに人と話していなかった俺は、どもってなんて返事をしたか分からない。
だが視界に一瞬入った女の子は、驚くほど可愛い子だった。
恐らく俺のクソみたいな人生の中で一番可愛いと断言できる。
もう一度だけ彼女の姿を見たい。
そんな下心から、すれ違って数歩進んでから振り返った。
――だが、そこには誰もいなかった。
本当に自分が寝ぼけていたのか、それとも彼女は桜の妖精だったのか。
そんなことを思いながら顔を上げると、夜明けの白んだ空と桜色のコントラストがただ美しかった。
呪文
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