一駅分の片想い/スマホ壁紙アーカイブ
朝のホーム。
人の流れにまぎれて、私は今日も彼を探している。
同じ制服、同じ時間、同じ車両。
だけど、言葉を交わしたことはない。
電車に乗り込むと、少し離れた場所に彼の姿があった。
私はスマホの画面に視線を落としながら、こっそり視界の隅で彼を追う。
イヤホンから流れる歌のフレーズが、今日も胸にふわりと染み込んだ。
ドアが閉まり、車両が静かに揺れ始める。
彼が降りるのは次の駅。
あと3分、あとひと駅。
あと少しだけ、この片想いを抱いていられる。
やがて電車が停まり、ドアが開いた。
彼の背中は人の波にのまれて消えていった。
私はもう一度、スマホの画面に目を戻した。
「おはよう」とか、「今日は寒いね」とか、それだけでいいのに。
でも、きっと明日も言えないまま。
────────
★Xに別カットあります
https://x.com/GenerationUI/status/1923405624026562756
呪文
入力なし